÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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中上健二 文春文庫

 日本文学を読まなければと思い立って、読んでみた。翻訳物と違って、やっぱり日本語は母語だという感じがした。全体的に、湿った臭いのする短編集。
 収録作品は、『黄金比の朝』『火宅』『浄徳寺ツアー』『岬』の四編。どの作品も独立しているが、主人公の家族構成など背景は似ている。正直なところ、最初の三編は読んでいて全然合わず、途中であきらめようかと思ったが、『岬』はとても良かった。前の三編は、『岬』を読むための準備運動なのだと思えば良いと思った。
 短編は、それぞれ父親が違う兄弟たちや、父親を突き放した主人公など背景は類似しているが、細かなところを少しずつずらしながら、何度もなぞるように家族を描いていく。特に『岬』はそれぞれの家族が自分たちの家系を眺める歪んだ視点が、父親に対する憎悪と執着を滲ませる主人公の視点から浮かび上がってくる。主人公らの住む町にそびえる「岬」が、それらを包括するように象徴していて、いかにも『文学』という印象。
 とりあえず、濃厚な雰囲気の家族描写におなかいっぱい。
 今回は、主人公が異母妹と交わるラストシーンから。これだけ読むとよく分からないが、全編通してから読むと、何やら意味深い。
おまえの兄だ、あの男、今はじめて言うあの父親の、俺たちはまぎれもない子供だ。性器が心臓ならば一番よかった、いや、彼は、胸をかき裂き、五体をかけめぐるあの男の血を、目を閉じ、身をゆすり声をあげる妹に、見せてやりたいと思った。今日から、おれの体は獣のにおいがする。(中略)いま、あの男の血があふれる、と彼は思った。
* 2007/06/23(土) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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