÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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木のぼり男爵
木のぼり男爵
イタロ・カルヴィーノ 白水Uブックス

 イタリアの作家イタロ・カルヴィーノ『われわれの祖先』シリーズ2作目。カルヴィーノ作品はこれが初めてだが、案外読みやすかった。次は「不在の騎士」を読む予定。
 あらすじ。時は18世紀。イタリアの男爵家の長男コジモ・ヴィオバスコ・ディ・ロンドーは姉の作った悪意のこもるカタツムリ料理から逃れ、木へ登る。それ以来、彼はひとときも木から降りることなく生活する。爵位を継ぎ、恋をし、冒険や決闘や革命も全て木の上で行われるコジモの生涯を、弟であるビアージョの口から語った物語。
 突飛な設定の割には、思っていたよりも普通の話だった。それは、コジモが木の上で生活しながらも、地上の人々から離れることなく、双方で関わり合いながら暮らしているからである。地上から離れることで手に入れられる視点と、樹上であるからこそ限られる世界のバランスを、いかにして保っていくかというのがテーマの一つであるけれど、難しいことは抜きにしても読んでいて楽しい寓話。樹上の生活をいかにして快適にするか、樹上から人々に働きかけるにはどうしたらいいのか、というコジモの工夫はそれだけで楽しい。一応、創作論的には、語り手と物語の内容が距離を置く作りになっているけれど、弟がほとんど無個性なので、それが効果的なのかどうかは微妙。
 イタリアの話だが、登場人物やフランス革命などの事件を介して、他のヨーロッパ諸国とつながっており、小説自体にもフランス語やドイツ語などがたびたび出てくる。やっぱりヨーロッパ諸国は地続きでつながっているのだなと、何となく思った。
 様々なエピソードと登場人物の絡め方が、その人物の個性を引き出す形でできていて、そう思うと、上手くできている話だと思う。登場人物は、みな一癖あって面白いのだが、個人的には主人公の母親である将軍令嬢(ジェネラレッサ)が一押し。ドイツから嫁いできた彼女は、イタリアの地でもドイツ語をたびたび口にし、行われることのない軍事作戦をいつも夢想している。軍人の娘であることを誇りにし、周りを理解せず、理解されない彼女は、軍事にかまけているからこそ、誰よりも早くコジモの行動を受け容れる。木の上にいる息子を当然のように側に置く、彼女の臨終の場面はよい。というか、この物語の登場人物の死に際は全部素敵だ。
* 2007/05/20(日) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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