÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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宇宙創世記ロボットの旅
宇宙創世記ロボットの旅
スタニスワフ・レム ハヤカワ文庫

 レムのユーモアSF短編連作。堅苦しい感じの「ソラリス」とは違って気楽に読めるけれど、やっぱりレムだなあという感じのSF。『宙道師』や詩人『白楽電』など無理矢理感も漂う翻訳者の言葉のセンスがすごい。
 あらすじ。『無窮全能資格』を持った宙道師トルルとクラパウチュスは、宇宙の様々な国に出かけ、助言と優れた技術を授けるロボット。そんな二人は、戦争好きの君主が治める国に出かけたり、恋に迷った王子に助言したり、たまには家で詩作ロボットを作ってみたり、面白可笑しく旅を繰り広げるのだが。
 まじめに宇宙論や文学論を語ってしまうレムもいいけれど、その知識を生かして面白いSFを書いてしまうレムもよかった。他の作品にも通じるけれど、確率やサイバネティクスによる宇宙のとらえ方の発想がとても素敵。解説によると、現代社会に対する風刺も含んでいると言うことだけれど、そういうことはよくわからずとも、好奇心旺盛な二人のロボットと奇妙な星を巡る旅は愉快。昔の翻訳らしさとポーランド語圏のせいなのか、過剰な漢字とよくわからないカタカナから成る固有名詞が、また不思議な印象を醸し出している。

以下、面白かった章の感想
『竜の存在確率論』
 楽しい確率論の話。絶対に存在しない竜には、ゼロ型・虚数型・マイナス型と分類されるといった独自の竜学が述べられる。確率増幅器を使って存在しない竜の潜在的出現確率を高めたり、不可能出現密度が高まることで蝶がモールス信号を送り出したり。理論上0.6匹の竜が得られるといったような、数学理論がそのまま竜の存在論になる世界が面白すぎる。虚竜2匹でマイナス竜1匹になるんだろうか。
『盗賊「馬面氏」の高望み』
 情報を何よりも愛する盗賊に、トルルとクラパウチュスが素敵なプレゼントをあげる話。原子の衝突の莫大な組み合わせを情報としてとらえ、その中から真実であるものだけを取り出す「二流悪魔」が、馬面氏に全く恩恵をもたらさないのがよい。情報とは真実であるだけでは、実にしょうもない。
『トルルの完全犯罪』
 トルルは追放された独裁的な君主「放逐王」のために、プログラミングして知的生命体そっくりに反応するサイバネティクスがすんでいる小さな箱入りの王国を作ってあげた。そのことをクラパウチュスに怒られたトルルがもう一度「放逐王」に会いに行くと、という話。このサイバネティクスのとらえ方は、今となっては結構ベタな気もするけれど、その精密なプログラミングの書き方が面白い。極微族の住む星の衛星として、最後に月となって回っている王様のシュールさが幕引きの情景として心に残った。
* 2007/03/28(水) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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