÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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10・1/2章で書かれた世界の歴史
10・1/2章で書かれた世界の歴史
ジュリアン・バーンズ 白水社

 歴史をいかに語るか、どう伝えるか、そもそも歴史とは何なのか、ということをテーマにし短編集。もう少し、いわゆる世界史について扱っている小説かと思っていたので、自分の期待していたものとは微妙に違っていたけれど、結構面白かった。(特に前半部分)技巧的で、ペダンチックで、ユーモアあふれる小説はどうやら好みらしい。
 それぞれの短編は独立しているが、共通のモチーフが用いられることによって、読んでいるうちに少しずつ話がつながってくる。強者によって語られる歴史を嘲笑うかのように存在するキクイムシ、太古の昔からまさに現在まで選別される『清潔な者と不潔な者』、そしてノアの方舟。
 小説というアプローチだからできるフィクションとしての「歴史」の楽しみ方。この作者は巧いなあ。

以下、面白かった章の適当な感想
「密航者」
ノアの方舟に潜り込んだ、とある生物の話。神話的にではなく、そこから省かれた者からの視点で語られる皮肉なノアの方舟の物語。全てはここから始まった。
「宗教裁判」
時は中世。司教の座る椅子を腐らせた咎で、キクイムシは教会から破門の危機に!凄腕法学者がキクイムシの弁護に挑む!という話。口頭弁論などの裁判形式に則った形で書かれた小説。個人的には、一番面白かったかもしれない。内容は馬鹿馬鹿しいことこの上ないのに、主張は訴訟法の構造に忠実で、正しくて大まじめだからこそ可笑しい。というか、中世の時代には本当に動物を相手にした裁判があったらしい。全部人間の独り相撲なのが哀しい。
「難破」
一つの壮絶な遭難事故が、絵画として描かれるまでを、詳細な資料によって追う話。事実としての出来事が、加工されて「歴史」となっていく過程が楽しく読める。

 キリスト教的歴史観がいまいちぴんとこないので、ノアの方舟の話にどうしてそんなに噛みつくのだろうと言う気がしないでもない。でも、聖書原理主義者(という言い方でよいのか?)は、ほんとうに洪水があって、生物たちが方舟で絶滅を免れたと信じていて、大まじめに方舟の大きさについて議論していると聞いたこともあるし、西欧で歴史を扱うにはこれくらい過激に行かなくてはいけないのかもしれない。断章で、いきなり愛について語られたときはびっくりした。
* 2007/03/15(木) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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