÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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ハツカネズミと人間
ハツカネズミと人間
ジョン・スタインベック 新潮文庫

 ノーベル文学賞受賞者による150ページ弱の短編小説。シンプルにして明確。
 あらすじ。アメリカにて。小柄で目端の利く性格のジョージは、幼い頃からの知り合いである頭の弱めな大男レニーと組んで、渡りの労働者をしている。悪意はないが思慮もないレニーのせいで、仕事はいつも長くは続かず、二人はほとんど文無し状態。だが、二人には『土地と小さな家を持って、そこでウサギを飼って暮らす』という夢があった。そんな二人は今度こそお金を貯めるために、農場で働き始めるのだが。
 凸凹コンビの書き方がうまい。冒頭の、二人の間で半ば儀式化されているような夢の話のあたりは、双方が相手にとって必要な存在であることを印象づける。さらに、戯曲風の限定された情景描写が、描かれない内心を引き立てている。エピソードの絡め方もよく、無駄のない構成で最後まで読ませる。出てくる登場人物全員が、必要十分に役割を果たしている印象を受けた。(決してそれ以上でないところが、この小説が無駄のない理由なのかもしれない)
 衰え行く老人、被差別者である黒人、危険な女。皆が自分だけの力ではどうすることもできない閉塞感と無力感をかかえている。『夢』を共有することで訪れた和解の兆しは厳然と存在する現実の前に費え、だれもが力無く退場していく。
 関係ないけれど、レニーは肉体労働以外は何をやらせてもだめだけれど、ジョージの扱いだけは上手いと思った。全部わかっているみたいであるし。

 ところで、解説や紹介でよく書いてある「温かいヒューマニズム」とはいったい何なのだろう?

(以下ネタばれ 未読の方はご注意を)

最後のあの結末は、悲劇は避けられず、反対のことがあり得ない以上、必然だったのかもしれないと読んだ後には思う。
 誰もが(レニーでさえもが!)内心ではかなえられないだろうことを知っていた、小さな土地で暮らしウサギを飼う夢。レニーがいなくなったことで夢を現実にできる可能性は高まったのに、彼がいない以上、ジョージにはもう夢を見ることすらできない。
 結局ジョージがレニーの行動と命に責任を持って始末をつける形になったのだけれど、ジョージがその後全ての下層労働者と同様に精神的に(もちろん金銭的にも)貧しくなっていく様が容易に想像できるだけ、最後の引き金が一層悲劇的に感じられる。
* 2007/03/05(月) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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