÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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神曲 地獄編
神曲」地獄編
ダンテ・アリギエーリ 集英社文庫

 集英社ヘリテージシリーズ第2弾。中世知識の総決算かつルネサンスの走りである作品。
 あらすじ。ダンテは見知らぬ森の中で迷う。獣に追われさまよっていると、永遠の淑女ベアトリーチェによって遣わされた、憧れの詩人ヴェルギリウスが現れる。彼はダンテを地上へと戻すために、遠回りであるが地獄・煉獄・天国を通る道を示す。そしてダンテは、ヴェルギリウスと共に地獄巡りの道へとはいる。ダンテは、地獄を下っていきさまざまな罪人達を見る。そして、最下層で堕天使のルシフェルの体を下り、二人は煉獄への道へ付くのだった。
 いきなり著者と同名の人物が脈絡なく森でさまよっているところに、憧れの人がやってきて地獄巡りを始めるという唐突な展開に驚いた。中世の神学・哲学・科学の知識をまとめ、世界観の総決算を行っているらしいのだが、その基盤となる知識がこちらにないので、読んでいてもぴんとこない。キリスト教的世界観も、なじめないし。ギリシャやローマの文学作品・聖書の引用も多く、当時の教養が偲ばれる。とりあえずオウィディウスの「変身物語」が気になった。
 けれど身の危険なく行う地獄巡りは、グロテスクな遊園地を巡るようで読んでいて楽しい。地獄を収める数々の獰猛な悪魔も、ヴェルギリウスが一喝するとしおしおと引き下がる様子も微笑ましい。読んで行くに連れて明らかになる地獄の何十もの階層構造はそれぞれの罪に対応したものとなっており、その刑罰も様々。淫欲の罪を犯したものが突風に吹きすさべられたり、汚物の沼でおぼれたり、なます切りの刑にあったり、氷付けになったり。当時権力に腐りきっていた教皇が釜に押し込められて逆さまになっていたり、オデュッセウスが嘘を付いた罪で炎に包まれていたり、有名人のオンパレード。イスラム教のムハンマドとアリーが、不和の罪を撒いたとしてなます切りにされ人体欠損しているのは、さすがにまずいのでは。全ての人間がいるはずなのに、ダンテの出身であるフィレンツェ人との遭遇確率がかなり高いのも可笑しい。(いくら当時のフィレンツェが荒んでいるにしろ)
 解説によると、韻文で書かれているらしく、文章の数や構成も計算され尽くされているらしいが、そうした文章のリズムは翻訳の過程でどうしても消えてしまうので、味わえなくて残念。キリストは畏れ多いので、文末に来ても韻を踏まないんだそうです。
 集英社文庫版には「神曲」を独自の解釈で描いたブレイクの挿絵付き。濃厚なタッチで存在感溢れるように描かれている地獄の住人とは対照的な、淡泊で女性のようにも見えるダンテとヴェルギリウス師弟は可愛らしい。面白かった絵は、生前偽善を為したものが、豪奢だが重い鉛の外套を身につけて、俯きながら歩きまわる絵。
 とりあえず煉獄編と天国編はしばらく読む予定無し。

今回の引用は、有名な地獄の門の銘文から。
われをくぐりて 汝らは入る なげきの町に
 われをくぐりて 汝らは入る 永劫の苦患に
 われをくぐりて 汝らは入る ほろびの民に
正義 高きにいますわが創造主を動かす
 われを造りしは 聖なる力
 いと高き知恵 また第一の愛
永遠のほか われよりさきに
 造られしもの無し われは永遠と共に立つ
 一切の望みは捨てよ 汝ら われをくぐる者
ダンテとヴェルギリウスといっしょに、Let's go to Hell!
* 2007/01/16(火) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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