÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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ガリレオの指
ガリレオの指
ピーター・アトキンス 早川書房

 ダヴィンチ・コードの二番煎じのような題名だが、中身は科学解説書。副題は「現代科学を動かす10代理論」
 500ページ近くある大著だが、生物学・科学・物理学・数学とジャンルを限定することなく、現代科学を知る上での基礎を語ってくれる。思わず吹き出すようなユーモア、多くの挿絵、分かりやすい比喩が、読み進めていく上での牽引力となって、飽きさせない工夫も多数。著者が歴としたイギリスの科学者なので、正確性を心がけるためか、幾分回りくどかったりする部分もあるが、その分変に歪曲して伝える凡百の解説書より信頼できる。下手な薄っぺらい解説書を読むより、広大な科学の概観を掴むためにも、厚さに見合った価値は十分にある。
 結構内容は高度なので、高校程度の科学知識(かじった程度でも)があった方がいいかも知れない。
 英国人らしいユーモアが散りばめられていて、無味乾燥な教科書とは違って、思わず笑わせてくれて読みやすい。例えばエネルギーの章ではこんな感じ。(エネルギー保存の法則を解明しようとした学者達は、クリスチャン)
トムソンとマクスウェルは、宇宙にどれだけのエネルギーが存在するかという疑問を抱いたかもしれない。それが神の気前の良さを測る尺度となるからだ。ふたりはきっとその量が無限だと思っていたのだろう。無限でなければ神の寛大さに制約があることになるので、神がケチだったという認めがたい可能性を示唆してしまうのだ。エネルギーは保存されるのだから、今存在する総エネルギーを見積もることができれば、最初に神から授かった量はそれと同じはずである。では、現在どれだけのエネルギーが存在するのだろう?
現在のところ、推定値では、エネルギー量は限りなくゼロに近いらしい。というわけで、神はケチだったことが推定されるのでした。
 この本の中で、中世の知識体系の元となったアリストテレスが、実験に則さず憶測で物を言う存在として随所で批判されているが、まあ、当時としては最高に合理的に考えた上での発言なのだから、あそこまで言うのは結構酷だと思った。どちらかと言えば、支配層にとって都合がよいからと、アリストテレス観を持ち上げて、検証を怠ったその後の人たちの方が批判されるべきなのではと。
 科学の抽象化と一般化の原理は、人間がいかにありふれて卑小な存在でしかないことを教えてくれるが、理性で宇宙のはじめから、繁殖の仕組み、物質の本質から、世界の規則性まで割り出すことが出来るのだから、人間も結構悪くないんじゃないだろうか。
 同じ作者による「元素の王国」も分かりやすくて良い。こちらは、元素の周期表を一つの王国に例え、その科学的特性を地理上の表記に例えている。化学の分野は、素人にも分かる良い解説書が特に少ない気がするので、その点でも貴重。(物理は、アインシュタインやホーキングのおかげか、なぜだか結構解説書が多い)
 適当な科学知識は、他のジャンルの本を読んでいる時にも参考になるので、とにかくこの本はお薦め。本当に面白かった。
* 2007/01/06(土) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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