÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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日本古代文学入門
日本古代文学入門
三浦佑之 幻冬舎

 オオサンショウウオと少女の裸体がまぶしい表紙が目印。大学での講義をまとめた入門書。古文の知識がなくても読めるので、初心者でも気軽に読める。扱う範囲は、平安時代以前で、古事記・日本書紀からその他マイナーな古代文学まで。
 「異界を旅する」「女と男/男と女」「エロ・グロ・ナンセンス」「スクープされた事件」と主に4つの章から成り、古事記などの資料を現代語訳で紹介した後(たまに原文付き)、作者が現代の見解を交えつつ解説してくれる。いろんな小話が少しずつ紹介されているので、非常に取っつきやすい。純愛あり、獣姦あり、下ネタあり、謀略ありと、何でもそろっている古代文学の底力を見よ、という感じで。古代はとにかく資料が少ないので、実際にその出来事があったのか、という視点ではなく、人々の間でなぜ・どのように伝えられ広がっていったのか、という視点がとられている。
 全体を読んだ感想としては、作者のメッセージ通り、千年や二千年くらいで人間変わるわけはない、という当たり前の結論なのでした。昔から相変わらず、いわゆる『心の闇』によって引き起こされる残虐事件はあり、天皇の跡継ぎ問題があり、人々は道鏡と称徳天皇などの皇室スキャンダルにわくわくして、下ネタ大好きだったりする。古代人だから素朴というわけでもなく、黄泉や蓬莱山など異界の存在を、半分は信じていないのだが、どこかで信じているような登場人物もいるし、マザコンのあまり母親を刺してしまう青年もいる。
 特に奈良時代は、律令制の確立によって天皇を中心とする男系社会への転換、物々交換から通貨の造幣による経済体制の変革など政治・経済・社会が大きく変化している。その中で、男系社会には当然伴う女性への不信感(生まれた子は本当に自分の子なのか)や、拝金主義の歪みが文学にも影響を及ぼしていて、そのあたりは現代と変わらない。素朴でおおらかな古代というのは、現代人が想像するユートピアでしかなく、古代だって現代同様大変なのである。そんな話がいきいきと伝えられていく様が本書の面白いところだと思う。

 難しいことはおいておき、面白かったのは、僧侶である景戒が編集した説話集である『日本霊異記』。民衆の間で伝わっている伝承に、景戒が仏教的なコメントをつけている構成になっているが、そのコメントがなんでも因果応報の報いにしてしまい、ピントはずれで可笑しい。おまけに仏教書の割には、蛇の子を堕した女(描写がとてもエログロ)とか、吉祥天女の像に懸想している修行僧(夢精までしている)とか、そんな話を納めていてよいんだろうかと思うような内容もある。学術的には、口承での伝承が納められているので、有用な資料とのこと。
 ところで浦島太郎の歌の「鯛やヒラメが舞い踊り」のヒラメは、実は浦島と仙女が交わった際の『比目魚』という体位の名前らしい。小学生も歌っているのに。
* 2006/11/04(土) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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