÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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銃・病原菌・鉄
銃・病原菌・鉄
ジャレド・ダイアモンド 草思社

 人類学の謎を解き明かすピュリッツァー賞受賞作。
 アメリカ人であるダイアモンド先生は、ニューギニアでフィールドワークをしていました。現地で協力してくれた原住民達は、彼らは狩猟採集生活を営んでいたのですが、白人が持ち込んでくるプラスチックなどの人工製品に興味津々でした。ある日、ダイアモンド先生は原住民のヤリという男性から尋ねられました。「どうして白人達は、こんなに沢山のものを持っているのに、自分たちはこういったものを持っていないのだろう?」確かに、不思議です。多くの人は、それは白人が他の人種より優れているからだと言います。しかし、彼らは文字こそ持っていませんでしたが、生きるための術を身につけ、常に興味関心を持ち、下手なアメリカ人より知性的であるとダイアモンド先生は思っていました。それではどうして、彼らはヨーロッパ人よりも先にこういったものを発明しなかったのでしょうか?どうして、世界は今、ニューギニア人ではなくヨーロッパ系白人が覇権を握ることになったのでしょうか?ダイアモンド先生は、ヤリのこの素朴な疑問に答えるべく、何年にも渡る研究をすることにしたのでした。
 というわけで、歴史学・遺伝生物学・言語学などを駆使して、各大陸や地域における人類の発展度の差がいかにして形成されるに至ったかをダイナミックに説明してくれる好著。込み入った専門的な説明もなく、門外漢でもすらすらと読めるところも良い。
 何より、食料生産がいかに早く始められたかによって、その後の歴史が大きく変わってしまう。食料生産は富の偏在を可能にし、文字を扱える官吏や効率的な集団運営を可能にする政治家を生み出す。また、人間のために飼い慣らした家畜は、体内に持つ病原菌によって疫病に対する抵抗力も身につけさせてくれる。一方、家畜を持たなかったものたちは、やがて家畜を持った人々と接触したときに、彼らがもたらした病原菌によって大きく人口を減らしてしまう。興味深かったのは、大陸が東西に長いのか、南北に長いのかで農業や家畜の伝播速度が全く違うことで、この要因も社会の構成にまで大きな影響を与えてしまう。
 何より作者が言いたいのは、地域による発展度の違いは、人種による違いではなく、地域によって違う気候や植生、地理的特性など環境という要因によってもたらされるということである。
 日本は、食料生産がしやすい温暖な気候で、且つ食料生産が始まった地域の一つであり文明の中心地でもある中国と、近すぎず遠すぎずの位置にあって運が良かったと思ってみたり。

 最後に一つ面白いエピソード。19世紀初期のアメリカ。ネイティブアメリカンの一つであるチェロキー族のセコイヤ(鍛冶屋)は、白人が何かを紙に書き付けて、長い話を覚えたり、繰り返しているのを見て、それが役立ちそうな物だと考えました。しかし、彼は読み書きが出来ず、英語も知りませんでした。そこで彼は、自分で便利な表記法を考えることにしたのです。必要な図柄が多すぎたり、母音と子音の関係を発見することに手間取ったりと、試行錯誤を繰り返しました。最終的に彼は近所の先生から貰った英語の教科書からアルファベットの図柄も拝借して、チェロキー族の言葉を書き表すのにぴったりな、チェロキー語を発明したのです。習うのが簡単で発音に巧く対応していたこの言語は、チェロキー人にすぐに広がり、やがて彼らは本や新聞を印刷するようになりました。このチェロキー語は言語学的にも評価が高いそうです。人間やれば出来るものだと。
* 2006/10/21(土) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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