÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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ロートレック荘事件
ロートレック荘事件
筒井康隆 新潮文庫

 「富豪刑事」に並ぶ、数少ない筒井康隆のミステリー作品。普通のミステリと見せかけて、やっぱり筒井康隆らしい作品だった。
 あらすじ。脚に傷害を負った画家、ロートレックの作品を蒐集したロートレック荘に招かれた工藤と浜口。美女達やその家族と優雅に過ごすはずの休日が、二発の銃声による美女の死から一転する。
 前人未踏の筒井によるメタミステリーという謳い文句なので、ミステリという枠をどう壊してくれるか、かなり期待して読んだ。結果、「葦と百合」を読んだすぐ後だと、どうしてもパンチ力不足な感じが否めない。解決すべき謎があり、その謎にきちんと解答が付けられているだけで、立派なミステリだと思ってしまう。が、登場人物の設定が彼らしい。差別表現あれこれで断筆宣言したり、復帰したりしただけはある。
 挟まっているロートレックの絵が良かった。雰囲気が出る。「洗濯女」の絵に一番そそられた。
(以下ネタバレ 未読の方はご注意を)



 非常に良くできた叙述ミステリというのが最初の印象。良く読み返してみると、細かいところできっちり言葉遣いが違っていたりなどする。一度目に読んだときのなんともいえない文章への違和感が、伏線としてきっちり回収されているところが伊達ではない。文章力によって、本来このトリックにありがちなつぎはぎ感が気にならなかった。他に、叙述トリックだと折原一あたりが有名。
 作者の狙いはむしろ、この叙述トリックがなぜこんなにも上手く成功するのかということだろう。この叙述トリックが成功する上で欠かせないのが、わたしたち読者が障害者に対して持つ先入観ともいうべきものである。差し挟まれるロートレックの絵と相まって、無意識の先入観による肯定が、ただの叙述トリックを最後の衝撃的結末まで押し上げていくのだと思う。
 動機の面で、この障害というものが真っ正面から取り上げられているのも、珍しい。障害を理由にするなんて、という非難も見かけるが、別に障害者だって特段精神力が強靱なわけでもなく、長所あり欠点ありの人間なのだから、自分の持つ不利益(と一般にされる)な事実に押しつぶされることだって、十分にあり得ることではある。ただ、読後感は良くないが。最後の独白は、やりきれない。

(追加)同じ体験をして非常に納得したブログを見つけたので、トラックバックしてみる。
* 2005/09/13(火) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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