÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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ハムレット
ハムレット
ウィリアム・シェイクスピア 新潮文庫

 あまりにも有名すぎる戯曲。人間存在の不条理を描いた(らしい)シェイクスピアの四大悲劇の中でも最高傑作の呼び声も高い復讐劇。
 あらすじ。父の喪に服し続けているデンマーク王子のハムレットは、父の亡霊により、母と再婚した叔父が父を暗殺し、王位と母を奪ったことを知らされる。復讐を誓ったハムレットは狂ったふりをし、機会をうかがうが。
 マクベス夫人のような強烈な野心もなく、リア王のような圧倒的な愚かさもなく、優柔不断な若者であるハムレットが迷いながら復讐への道を踏み出してしまう。
 エディプスコンプレックス丸出しで、注釈によると中年や小太り疑惑まであるハムレットや、弟と結婚してしまったのに后だけには甘い父の亡霊がなんだか可笑しい。
 スウェーデンの王子やオフィーリアの兄によって、何重にも繰り返される父の死と子による復讐。多層構造によって繰り返される主題は、深みを増しながら破滅的な結末へと導いていく。
 ハムレットによるオフィーリアいじめや母への糾弾は、意味が分からなくて楽しい。
 それはともかく、やっぱりシェイクスピアと言えば、道化と墓掘り。ユーモア万歳。
 数えきれないほどの解説書や注釈書が出ているので、今更何か書くようなこともないけれど、何がしか書いてみる。
 ハムレットについての一番の悲劇は、父親が殺されたことではなく、叔父に復讐しなければならないことなのかもしれない。ハムレットは、無防備な叔父を前するという決定的なチャンスを目の前にしながら、何かと理由をつけながら復讐を果たそうとしない。無批判に復讐を遂げようとする他の主人公とは違い、ハムレットは復讐というその宿命について延々と悩み続ける。
To be, or not to be: that is the question.
父の言葉によって、復讐劇の主役として、復讐しなければならないと運命づけられたハムレットという存在こそが、悲劇的に見える。
 運命を受け入れたハムレットは、勿論復讐されることも了解済みであるのか、どこか死を覚悟したようであり、復讐以外のことに対して『どうでもいいことだ』となげやりのような無関心になっていく。そして、最後は混乱の中で復讐は果たされ、自らもまた、オフィーリアの兄の手によって、復讐の渦の中で死んでいく。フィナーレに鳴るハムレットへの葬送の為のラッパの音は、復讐によって即位したスウェーデン王の栄光を祝福し、またその運命を呪う響きでもある。
 復讐の必然的結果としての悲劇は永劫に繰り返され、その終りに救済は見えない。偉大なる復讐劇によるアンチ復讐劇、として読んでも面白いのかもしれない。
* 2006/08/15(火) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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