÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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悪童日記
悪童日記
アゴタ・クリストフ 早川epi文庫

 ジャン・ジュネの泥棒日記と勘違いしていた。それなりに前に読んだのだが、感想を書き忘れていたので、思い出しながら書いてみる。
 あらすじ。時代は第二次世界大戦前後、ドイツ帝国占領下にあるハンガリー。母親によって、意地悪な祖母に預けられた双子は、生き抜いていくために強くなろうとする。飢餓・罵詈雑言・痛みなど、さまざまな『悪徳』の鍛練を重ね、双子はその状況を克明に作文にする。
 強欲な祖母、駐留しているドイツ軍人など、決して善人ではなくとも、生きていくために自分に忠実な人間には、双子はある種の敬意をもって接している。逆に、特に悪人というわけでなくとも、周りに安易に同調して、自分の考えを持たずに他人を傷つけるような人間には、双子はとても厳しいと思う。
 極限状況のなかで、他の何ものにも頼らずに、二人だけで自分たちの倫理を貫く強靱な双子は、安易な同情など排し、信仰にも縋らず、己を鍛えて知恵で生き抜いていく姿が、裏返して安っぽいヒューマニズムなど届かない荒んだ社会を表している。最後にあるものを踏み越えて、別々に走り出していく双子に未来はあるのだろうか?
 いっさいの感傷を除いた双子の作文として、この本は書かれている。それは、この双子がセンチメンタルなことを何も感じなかったと言うことではなく、そうせざるを得なかった、そして実際に感傷を失っていく軌跡である。
 気になった登場人物は、双子の隣に住む『うさぎっこ』に売春まがいのことをさせ、双子に脅迫される神父。かといって全くの悪人というわけでもなく、双子に本を貸してあげたり、とあることをした双子を黙認したりもする。あの状況下において神聖な慎みなどとうに捨て、それでもどこかに信仰を捨てきれない姿がですね。何か。

 ちなみに表紙はわかりにくいが、ものすごくネタバレだと思う。
* 2006/07/19(水) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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