÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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魔の山
魔の山
トーマス・マン 新潮文庫

 偉大なる教養小説。ひたすら長い。しかも漢字が多い。苦労しました。
 あらすじ。就職も決まったモラトリアム青年のハンス・カストルプはいとこのヨーアヒムの見舞いに、山奥のサナトリウムに三週間の予定で滞在を始める。「下の世界」とはかけ離れた習慣と価値観にハンス・カストルプは戸惑いながらも興味を感じる。そこで啓蒙主義のセテムブリーニ氏や乱雑に扉を閉めるショーシャ夫人などと出会っていくうちに、ハンス・カストルプの滞在期間は大幅に3週間を過ぎていくが。
 要するに短くまとめれば、未熟なハンス・カストルプ青年は、他の人の議論や生き方を見て成長しているうちに、うっかり魔の山に7年も滞在してしまったのです。
 「時間」と言う概念について面白い仕掛けがしてあって、語ることによってそれを伸縮させていくという構造になっています。やっぱり小説の中で「時間」と言う概念を改めて発見した「失われた時を求めて」は偉大だなあ。
 ハンス・カストルプ青年は色んな意味でもててます。(特に男に)初恋のようなプシービラフ・ヒッペとのエピソードは普通に面白いし。
 好きなシーンは、最初の方の祖父が死んでしまった場面。(有名な「雪」の章も、もちろん好きですが)黒い立派な襟飾りに包まれて、荘厳かつどこか親しみのある「死」についての描写は、以降ハンス・カストルプにずっと影響を及ぼしています。
 面白かった登場人物は、「人生の厄介息子」としてハンス・カストルプを教育してくれるセテムブリーニ氏。全ての悩みを解決すべく、百科事典を執筆中。近代的理性主義を標榜する彼は、宗教家でニヒリスティックな精神主義のナフタとしょっちゅう論争して、ページを喰います。平和主義者ですが、祖国イタリアを痛めつけるオーストリアとの戦争には賛成。議論していくうちに矛盾がぽろぽろ出てくるのにも気付かない、典型的「楽観主義的近代人」 論的でありながら、共に議論を何よりも重んじたナフタとの決着の付け方が、結局、前時代的な決闘という手段になるのが何とも皮肉。そこでの、彼の毅然とした態度は素敵でした。

 というか、最後はあれで本当にいいのだろうか?
FINIS OPERIS(終わり)
* 2006/07/02(日) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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