÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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猫のゆりかご
猫のゆりかご
カート・ヴォネガット ハヤカワ文庫

 世界の終わりを書いた一冊。この本を読む人は、本書の最初に付いている警告を忘れてはいけない。
本書に真実はいっさいない。
 あらすじ。主人公ジョーナは、ボコノン教の信者である。彼はかつて「世界が週末を迎えた日」という本を書くために、原爆開発者であるハニカー博士の資料を集めていた。その中で出会う、彼の3人の子どもたち。大国から見放されたサン・ロレンゾ島で知る奇妙な宗教、ボコノン教。そして驚くべき結果をもたらすハニカー博士の発明『アイス・ナイン』 奇妙な登場人物たちが直面する世界終焉の物語。(ちなみに猫のゆりかごとは、あやとりの形の名前)
 一応SFらしいが道具立てに少し感じさせる程度で、あまりSFを読まない私でも入り込みやすく、全編、皮肉とユーモアに溢れていて、非常に楽しく読めました。特にボコノン教の描写がよかった。情け容赦ないあらゆることに対する意味の剥奪も、歌うような警句もいいけれど、最初に本当のことを書いてある親切設計が、他の宗教になく良心的。真実を語る必要をこれ程感じさせない本も珍しいんじゃないだろうか。もちろん呆気ない世界の終焉にも特に意味はなく、嘆こうにも、嘆くべきシンボルはとっくに奪われてしまったのであった。
 それでも逆説的だけれど、全ての虚構が剥ぎ取られ、取り残された安っぽい母性愛の中でただ生きる主人公は、<フォーマ>(フィクションのこと)がいつでも私たちに必要で、人間たらしめている大切な物なのだと言っているのだと思えた。
 面白かった登場人物は、米国大使夫人にして、永遠の恋に浸るミントン大使夫人。一番まともかと見せかけて、本の索引を見るだけで作者がホモだと見抜く凄腕の持ち主。死に際も素敵でした。次点は、皮肉の効いている事前事業家にして実業家のキャッスル親子。
 本筋には関係ないが、『ナイス、ナイス、ヴェリナイス』とか、細かく分けた章立てはきっと、「さようなら、ギャングたち」のパロディ元だと思うのだが。思いがけないところで出会えて、びっくりした。
 色々思うことはあるけれど、結局まとめるてみると、この一言で十分。
「猫、いますか?ゆりかご、ありますか?」
* 2006/04/08(土) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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