÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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Wuthering Heights
Wuthering Heights
Emily Bronte Penguin classic

 邦訳で言うと「嵐が丘」。サマセット・モームが現代の十大小説に入れていたので読んでみた。筋が起伏に富んでいるので、英語でもあらすじは追っていけるのだけれど、単語のレベルが微妙に高いので、細かいところは岩波文庫の「嵐が丘」にお世話になりました。文学作品の古典だなんて思えないくらい、ぐいぐいと引き込まれて読める作品。悪魔的人物ヒースクリフ氏の異常な愛情と復讐の物語。
 あらすじ。領地を訪れたロックウッドは隣人のヒースクリフと知り合いになる。人嫌いで頑固な彼に興味を持ったロックウッドは、屋敷のメイドであるネリー・ディーンから彼のことを語ってもらう。その話は、拾われ子のヒースクリフとアーンショウ家のキャサリン、そして彼らを取り巻くアーンショウ家とリントン家一族の壮絶な物語だった。
 この作品には、ヒースクリフに愛されることになるキャサリンと彼女とエドガーの間に生まれた娘であるキャサリン(同じ名前)が出てくるのだが、紛らわしいので前者をキャサリン(1)、後者をキャサリン(2)と書くことにする。
 選択を先延ばしにしたキャサリン(1)が、結局は狂気に追い込まれてまで、選択を迫られる描写は壮絶。基本的に出てくる登場人物は全員、性格が激しい。良くも悪くも地味だったエドガーは、激烈な登場人物達の割を食ってしまった感じがする。
 影なる運命の女神であるネリーさんの淡々とした語り口が、凄惨なはずの事件もすらすらと読める読み物にしてくれている。あと、時々出てくるロックウッドの自分勝手な感想が、良い意味で脱力させてくれる。
 相手の幸福を祈るなんて糞食らえという感じの、ヒースクリフによるキャサリン(1)へ追悼台詞が大変興味深かった。
"Catherine Earnshow, may you not rest, as long as I am living! You said I killed you - haunt me, then! The murdered do haunt their murders. I believe - I know that ghosts have wandered on earth. Be with me always -take any form- drive me mad! only do not leave me always abyss, where I cannot live without my life!"
面白かった登場人物はイサベラ。夢見る少女だった彼女が、結婚後、ものすごく性格がねじ曲がっていく様がよい。ヒースクリフ相手に憎まれ口を叩くところで陰険さが際立っています。


以下ネタバレ。
これからこの作品を読む予定の方はご注意を。

 最後にヘアトンとキャサリン(2)が結婚することとなるのだが、この結びつきによってアーンショー家とリントン家は融合されこととなる。そして、二人がそれぞれに併せ持つヒースクリフ的要素とキャサリン的要素も大円団の中で調和していく。
 ヒースクリフは、自分の世代では決して幸せに結びつくことはなかった上の要素が、復讐の相手であるヘアトンとキャサリン(2)の中で融合されていくのを見て、復讐への執着心を失ってしまうのだが、今まで猛烈な勢いで悪事を行っていた彼が生気までなくしてしまうのは、どこか物悲しくて見ていて辛い。特に、ヘアトンに対してだけは、憎悪の念だけでなく親愛の情も持っていて、相手もまたヒースクリフを唯一慕っていて、そんな奇妙な関係が物語に陰翳を与えている。キャサリン(2)とヘアトンが去った嵐が丘で、永遠に幽霊となって幼いキャサリン(1)と漂い続けるヒースクリフは、果たして生前の自分の行いに満足していたのだろうか。
 解説によると、深読みすれば近親相姦や死姦要素まである、といったことが書いてあって、勘ぐりすぎではないかと思ったが、それはそれで楽しい。
 そういえば、ネリーがヒースクリフが断食していたことを黙っていたのは、キリスト教が自殺を厳禁しているからか?
* 2006/03/16(木) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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