÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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百年の孤独
百年の孤独
ガルシア・マルケス 新潮社

 ラテンアメリカのノーベル文学賞作家ガルシア・マルケスのベストセラー作品。
 あらすじというのも無意味なので、大げさなあらすじ。ホセ・アルカディオによって作られた町マコンドで、彼らブエンディア一族の百年の孤独を、一人一人の詳細なエピソードの集積によって紡いだ物語。100年の時を経て、愛によって「孤独」が完成されたときに、災厄が生まれる。そして物語が終わる時、アウレリャノのいる孤独なマコンドという世界は崩壊し、また全く同じ物語を読む読者の世界にも亀裂が走る。
 日常も不条理も、現在も過去も、回想も体験も、凄惨な政治闘争や些細な色事も、全て同じ語り口で語られていくことによって、その境界は判然としなくなり、全てが一つの物語へと溶け出していくような気がする。濃厚な臭いが漂いそうな、密度の高い描写は、読んでいて引き込まれる。
 この話の世界であるマコンドの中心のブエンディア家は、一見、大家族的な愛情に包まれている一族だが、世代を下って行くにつれて、彼ら一族固有の「孤独」によって生命力が摩耗されていくことによって、反復を繰り返す振り子がやがて摩擦力によって動きを止めてしまうように、その運命さえもとぎれてしまう。繰りかえし続ける名前や、一人の女を巡る兄弟、アウレリャノとアルカディオ兄弟の奇妙な友情のようなもの、ウルスラとアマランタに対する家族愛とも異性愛ともつかない憧れ。そして、その底にある一族を流れていく孤独。アウレリャノ大佐は金細工を潰しては彫り続け、アマランタは不毛な愛を込めて死装束を縫い、ホセ・アルカディオは樫の木の下で誰にも理解されないまま縛られ続けている。
 メタフィクション的構成も面白いけれど、いつまでも反復をし続けるように見える一族のエピソードが一つずつが、それぞれ魅力的だった。 
 大佐が繰り返した戦闘や、バナナ騒動などは、植民地主義や内乱などのラテンアメリカ史のカリカチュアなのだと思うけれど、その方面には疎いので、いまいちよく分からなかった。この辺りは、そのうち補っていきたい。

 訳者あとがきによると、この作品にはいくつかのミスがあるらしく、それを探していくのも面白いかも知れない。銃で頭をぶち割られた神父が、数ページ先で何事もなかったかのように生存していたりする。さすがに、寄付金を集めるためにチョコレートで浮遊術する人はやることが違う。
「しばらくそのまま。これから、神の無限のお力の明らかな証拠をお目にかける」
 そう言ってから、ミサの手伝いをした少年にいっぱいの湯気の立った濃いチョコレートを持ってこさせ、息もつかずに飲み干した。そのあと、袖口から取り出したハンカチで唇を拭い、腕を水平に突きだして目を閉じた。すると、ニカルノ神父の体が地面から12センチほど浮きあがった。この方法は説得的だった。


* 2006/03/12(日) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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