÷0  ジャンル雑多な読書感想文
2017.05 « .1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30» 2017.07
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
* --/--/--(--) # [ スポンサー広告 ]
さようなら、ギャングたち
さようなら、ギャングたち
高橋源一郎 講談社文庫


 正直よく分かりませんでした。本を読んだのに、「よく分からなかった」ということしか分からないなんて、悲しくなってきます。悲しみのあまり文体が変になってしまいました。ポストモダンの旗手による作品で、とてもポップであるらしいことは知っているのです。どうやら「小説を書く」ことについて書いたらしいことも、何となく分かるのです。多くの作家の文体をところどころ真似たり、拝借していることも感じられます。(『中島みゆきソングブックをもとめて』は「失われた時を求めて」のパロディでしょうし、例の『イエス』の語尾はジョイスの「ユリシーズ」からでしょうし、他にも色々あるに違いない)断片的には何か伝わるような気がするんです。「わけのわからないもの」とか、何かを言おうとしているおしの「ギャング」とか。でも、木星人や隣の吸血鬼や、翼の生えたバーテンなんかになると、さっぱりお手上げなんです。冷蔵庫になってしまったヴェルギリウスが「さようなら、ギャングたち」に自分は何であるのかと聞きに行く場面は可笑しいのだけれど、いったい何でそんな場面があるのか全然分からないのです。
 「一億三千万人のための小説教室」で小説のすばらしさをあんなにも力説している高橋さんのことですから、きっと、とてもとても頑張ってこの小説を書いたのだと思います。言葉を選ぶこと自体に無理があるのに、それでも選びに選んで、色んな作家に敬意を表しながら、真摯に向かった結果が、処女作たるこの小説であるのだと思います。書評なんかを見ると、どうやら大学紛争やらに巻き込まれて、言葉の無力さや生き残ったことの理不尽さを踏まえて、それでも何とか書いた小説なんだそうです。
 ということまで知っているのに、それでもよく分からないままなのです。
 
 一つの小説を読んで、伝えたいことがあるはずなのに、それがこちらに全く感じ取れないことは、悲しいことです。強烈に、何かを伝えたいことは分かるのに、それでも全く分からないのです。とてももどかしい気がします。小説に限らず文章は、発表した途端に作者の手を放れ、読者の解釈へと委ねられるものですが、どうしてこんなにも隔たりがあるのでしょうか。「全てが分かる」なんて傲慢にも近いことは言えないし、全てが完璧に伝わるなんてことはそもそもあり得ません。けれど、こんなにも一生懸命に何かを言っているのに、何にも読みとることが出来ないのは、こちらの怠惰によるせいが大きいような気がするのです。どうして、時間は山ほどあったのに、こんなにも怠慢を重ねてきてしまったのでしょう。これからの時間も、怠慢を重ね続けるに違いないのに。
 とりあえず、時間をおいて、いつか読み直すしかないんでしょうか。



(追記)

落ち着いて読み返してみると、創作物やその他一般における『言葉』について語った作品なんでしょうか。
だから、あまりにも独創的すぎて誰にも理解されなかった詩人の友人は、誰にでも理解できる、けれどとても無意味な言葉(ケンタッキーフライドチキンのスパイス!)しか叫ぶことが出来なかったんでしょうか。
だから、死んでしまったキャラウェイこと「緑の小指」ちゃんは、死んだ後には言葉だけ残って、本当に緑の小指になったのでしょうか。
まあ、やっぱりよく分からないけれど。

 いつか、赤いリボンを付けたキャラウェイが、同じようにリボンを付けた初対面の兄弟たちとキャッチ・ボールができたように、静かに、けれど確かなやりとりか出来たならば、それはとても素敵なことなのかも知れない。
 最後にナイスな場面を引用してみる。
 わたしは今、最高にナイスな気持ちだ。

 わたしはギャングだったんだ。わたしは詩人なんかではなかった。わたしは生まれてからずっとギャングだったんだ。
 わたしは今からそれを証明しようとしている。
 わたしはわたしの心臓に一発ぶち込んだ後、すごくナイスな、すごくすごくナイスな気持ちでめざめるだろう。

 今、それがわかる。
 この、すごくナイスな今に。
 何よりもナイスな、ナイスな、ナイスなギャングであることが。
* 2006/02/14(火) # [ 読書感想文 ] トラックバック:1 コメント:0

■ コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: ←ここをチェックすると 管理者のみが読めるコメントになります
 


トラックバック
この記事のトラックバックURL

▼この記事へのトラックバック(あれば表示)
キャラウェイ キャラウェイ(英:Caraway、学名:''Carum carvi'')。セリ科の二年草。原産地は西アジア。香辛料として用いられるのはその種子(植物学上は果実)。和名は姫茴香(ひめういきょう)。フェニキア人の手によってヨーロ
2007/10/03(水) 11:55:38) | スパイスとハーブ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。