÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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失われた時を求めて8
失われた時を求めて8
ソドムとゴモラⅡ
マルセル・プルースト 集英社

 今回は、今までの大貴族達のサロンではなく、ブルジョワ達の「小さな核」でのサロンの情景が中心。シャルリュス男爵とモレルのソドム関係や、アルベルチーヌのゴモラ疑惑などもちょこちょこと出てくる。少しかじったことのある「ペレアスとメリザンド」が何回も作中に出てきて、微妙に嬉しかったり。
 あらすじ。母と共にバルベックへ赴いた語り手は、嫉妬も起こさずにアルベルチーヌと穏やかに過ごす。母は祖母にだんだん似てきている。カンブルメール夫人のラ・ラスプリエール荘を借りたヴェルデュラン夫人は、そこで開いている水曜会に語り手を招く。水曜会にはヴァイオリニストのモレルを目当てにシュルリャス男爵も来ている。ブルジョワ達はゲルマント侯爵夫人とカンブルメール夫人の区別さえ付かない。語り手はアルベルチーヌのことがどうでもよくなったので別れようとするが、彼女がゴモラかも知れないことを掴むと、急に嫉妬に駆られ彼女との結婚を決意する。

面白かったところ・気になったところ
未だカンブルメール夫人をカマンベール夫人だと信じているリフト。
大学教授であるブリショによる、語り手のイメージをかきたてる司祭による語源の説明を否定と、彼が説明する土地の名の意味(くどい)
オデットとクレシー氏(今は落ちぶれているが、趣味のよい貴族)の関係。
アルベルチーヌがヴァントゥイユ嬢の女友達と親しいと知るやいなや、急変する語り手の態度。
土地の名からイメージを膨らませていた「バルベック」の習慣による変化。
その雰囲気はもはや苦悩をかきたてはせず、ひたすら人間の発散するにおいに充満して、楽に呼吸できるもの、あまりにも心を静めるものにさえなっている。少なくともそこからわたしが引き出す利益があるとすれば、それはもはや物事を実用的観点からしか見なくなったことだろう。だからアルベルチーヌとの結婚は、狂気の沙汰のように思われてくるのだった。
語り手にとってアルベルチーヌは見知らぬイメージを想像させる女である。それによってゴモラのイメージなどを持った語り手は、嫉妬に駆られる。しかし、サン=ルーに媚びていた彼女を見た途端、語り手は嫉妬から解放される。同時期、にバルベックの幻想のイメージも「小さな核」のブルジョワ達や地方貴族達を知人に持つことによって破壊される。虚構の持つイメージを失い、こうした実用的観点に立った語り手にとって、幻想をかきたてる女であるアルベルチーヌとの結婚は、馬鹿げたものとして見える。しかし、彼女が漏らした一言によってゴモラの疑惑を持った語り手は、その疑惑によって彼女へと急旋回する。
このように虚構の持つイメージを失っている語り手が、有名な円環構造で「失われた時を求めて」という一つの大きな物語を書き出すまでどのような変化がこれから起こっていくのか、楽しみになってきた。

巻末の注で思いも掛けないネタバレ(オデットとクレシー氏の関係について)があったので、驚いた。今までもたびたびあったのだが、先々の楽しみが奪われてしまうのでネタバレはもう少し慎重にやってほしいところである。勿論、丁寧な注はありがたいのだが。
* 2006/02/08(水) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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