÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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エロ事師たち
エロ事師たち
野坂昭如 新潮文庫


 本書の内容上、結構下品な内容です。苦手な方は、ご注意を。

 「火垂るの墓」で有名な野坂昭如の代表作。性の斡旋者「エロ事師」たちの面白うてやがて哀しい物語。大阪弁の語り口が、どうにもこうにも胡散臭くて感じが出る。
 ところでこの表紙だとアダルトビデオのなり損ないみたいで微妙なのだけれど、1970年発行の文庫版の表紙はコケットリーな感じで格好いい。
 あらすじ。「スブやん」は仲間の伴的やゴキと一緒に、処女(偽)の斡旋やらエロビデオの作成までなんでもやる「エロ事師」。 お客のニーズに応えるため、奮闘続ける彼らの物語。
 普段なら目を背けるような、どうしようもなく下世話で低俗な内容であるにもかかわらず、どこかしみじみとしているという感じがします。弄される多くのアイロニーのせいだろうか。幻想である死んでしまった母親を想い続けて書くエロ作家のカキヤとか、ダッチワイフにしか欲情しない不能の二枚目カボーとか、どこか捻れてしまった欲求の形がありありと描かれているかと思うと、表は紳士面して欲望ぎんぎんのサラリーマンがこれでもかと要求を出してくる。そんな性欲にまみれた世界の住人でも、義理の娘の処女を心配したり、流産した胎児を敬礼して川に葬る場面があったりして、ギャップにしんみり来る。
 一方で、男五人で並んで較べあっている場面とか、女子校の校庭をながめて処女膜が何枚で何億円の大もうけだと勘定している場面とか、くだらなくて笑うしかない。
 最後に、果たすべき役目がなくなってはじめて、ようやくその姿を誇る「それ」の存在が何とも言えず空しくて淋しい。パーティーの終わった後の、気の抜けた虚脱感が漂うのも、「エロ事師」の最期としてはふさわしいのかなと。
 虚飾の世界だ、嘘っぱちだとはよく目にするけれど、パソコンでのコラージュやらAVやらインターネット動画が出てきてどんなに業界が変わっていこうとも、変わることのできないありのままの欲望が力一杯描写されていて、とにかく一読を勧めます。
 
ちょっと面白かったところから引用。

女を教育し男の求めるイメージのままにふるまわせ夢を与えるといっても、これはもう古いのとちゃうか。(中略)いくら男の考える理想的な女をつくり上げても、いや、男が理想的なんちゅうイメージをえがくこと自体、もうくたびれとるんや。
で、最後に乱交パーティーをプロデュースし終わって、
冴えかかった月と唯一人相対するうち、やがて、しみじめと毛穴にまで満足感がしみ渡り、もうインポも餓鬼もどうでもええような風流な気分で、昔、早稲田の講義録で読んだ芭蕉を思いだし

というシーンが一番しみじみとして好きです。
* 2006/01/16(月) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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