÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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<反>哲学教科書
<反>哲学教科書
ミシェル・オンフレ NTT出版


 <反>哲学ではなく、あくまで<反>哲学教科書。フランスのリセ(日本で言う高校)で実際に使われていた教科書を翻訳したもの。この教科書を学校で本当に使っていたというのがすごい。日本だったら、おそらく検定の段階で通るはずないような刺激的なトピックに彩られているが、中身は真面目そのもの。
 内容は、
「君たちはかつて、人の肉を食べたことがある?」
「君たちは、なぜ校庭でオナニーしないのだろう?」
「なぜ君たちの学校は刑務所みたいに作られているのだろう?」
といった身近で素朴な問いから、過去の哲学者の考え方を参考にしつつ、丁寧に問題を追っていく。そして1トピックごとに、関連した哲学者のテキストの引用が付けられている。プラトンやカントと言った大物から、哲学史では素通りされがちな快楽主義者達、さらにメリエ(誰?)やグロティウスといったマイナーな哲学者まで幅広く取り扱われている。
 私的に面白かったのは、「机に『ノー・フューチャー』と落書きして、君たちは何が言いたいのだろうか?」 この疑問から、ニヒリズム・神学的ペシミスティック、そして逆の楽観主義的哲学者を論じていく項目。
 あまりに深く広い思想の一端を伝えて、考えさせるきっかけになるような本だと思う。此処で見ることの出来る入口のさらに奥に、解説書を読むなり原書を読むなりして分け入っていくのも一興だろう。哲学なんて考えなくても生活するのに何の支障もないが、自分自身以外にこうした問いを考えてくれる他人など誰もいないのだから。

 最近残虐な事件が多いので、引用されているテキストからひとつ。
 許し!だが彼らは私たちに、一度たりとて許しを請うたことがあっただろうか?許しを得ることに意味と理由を与えるのは、罪人の苦悩、罪人の孤独をおいて他はない。罪人が肥え太り、繁栄を謳歌し、「驚異の経済成長」で富を蓄えている時、許しなど、悪い冗談にしかならない。そう、許しは豚どものためにあるのではない。(中略)
 なにゆえに生き残った人々に、犠牲者の代わりとして、あるいは生存者、犠牲者らの親族、その家族らの名において、許しを与える資格があろうか?いや、獣が楽しんで手をかけた幼い子どもたちのために許しを与えるのは、私たちにできることではない。子ども達自身が許しを与えるのでなければならない。ならば私たちは、その獣どもたちに、そしてその獣どもの友人らに向き直って、こういおう。子どもたちに自分で許しを請うがいい、と。

ウラジミール・ジャンケレヴィッチ『非時効性』


本書を読むきっかけとなった記事
書評「<反>哲学教科書」 -悦ばしき知識-
ロリコンファル』より
わたしが書いたものより、さらに詳しく理論的に本書の紹介をされています。
興味を持った方は、是非。
* 2005/12/07(水) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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