÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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L.Lに寄せる畸人礼賛
以下Luna Lovegoodに関するキャラクター語り兼考察。圧倒的にLuna贔屓で。
(他のキャラクターに関する言及も多少は含む)
一部6巻の内容に触れていたりもします。(なるべくネタバレしない程度に)
うざったいくらい長いです。
そう言うのが苦手な人は回れ右。
内容にふさわしく、問わず語り調で。


 と言うわけで、今回の話題は高い原書をわざわざ買わせる原因になった張本人、Luna Lovegoodです。日本語訳では、ルーナ・ラヴグッド。超訳では愛良月子といったところでしょうか。
 役回りとしては反ハーマイオニー。(ただし、感情的な意味は含まずに)名前からも分かるとおり、月が表す狂気はハーマイオニーの表す「理性」とは正反対のところにありますから。他にも月は、「直感」や「洞察」なんかも意味するらしいですよ。語っていきたいことはいくつもありますが、いつものように項目に分けていった方が分かりやすいですかね。

○奇人
 まず外見的な特徴からして、ちょっと奇妙ですよね、この人。腰まである、ぼさぼさの濁りブロンドの髪の毛。飛び出し気味の目、霞がかった灰色の瞳。(いつも驚いたように大きいが、上の空のような視線という矛盾した表現) へんてこなイヤリングに、サイケデリック調の眼鏡、うさんくさいおまじないのために耳に掛けた杖と、どこを取っても変な外見。おまけにいつも見ている雑誌は、「quibbler」とかいう、怪しげな事件ばっかり集めたトンデモ雑誌ときています。(しかも上下逆さまに持っているし)
 外見に負けず劣らず、性格も輪を掛けてあれです。ぼやっとしているかと思うと、唐突にいたいところを付いてきたり、つまらないギャグにひーひー言いながら大笑いをしたり。今更誰も信じないような精霊を信じていたりするのも、相当きているように見えます。
 思ったことも、割と率直に言いますしね。ハグリッドのことにしろ、ロンのことにしろ。価値観は周りの人と微妙にずれているっぽいですが、案外まともなことも言ったりします。(セストラルの時とか) レイヴンクロー所属なので、頭はいいのかも知れません。また、5巻での魔法省の闘いを見ると、唯一無傷という記述も出てくるので、運がよい、または、意外と強いのかも知れません。
 そんな彼女ですが、9つの時に実験好きの母親が、実験に失敗して目の前で亡くなってしまうという体験をしています。それ以来、セストラルが見えるようになったのだと思いますが、他の死を体験したことのない同級生から見れば、彼女は奇異に映ったことでしょう。
 他の人と違うと言うことは、勿論目を引くし、反感も買いやすいものです。現に、彼女は持ち物を隠されたりしています。それでも彼女は恬淡としていて、特に同情を引くような様子もありません。自分が周りと違うことを自覚しながら、変に卑下したりせず、自分を偽らないことは、彼女の美点だと、わたしには思えます。
(個人的には、セストラルからまるで毎日乗っているかのように慣れた様子でするりと降りるシーンが好きだったり)

○伝統的な魔女
 魔女って、その社会の中でのマイノリティーに付ける「ラベル」としての役割があるらしいんですが、Lunaはそれに当てはまるんじゃないかって思うわけですよ。もともと「魔女」というのは、医師や産婆などの特殊な知恵を持った女性達に対する、マジョリティーによる恐れや僻みが作り出した概念みたいなんです。普通の人には理解できないあやふやなものを信じていたり、よく分からない知恵を使うことは、人々が暮らしている社会の中で「異端」として排されがちです。まして、格好が奇妙だったり、挙動も不審で在れば、格好の攻撃対象です。
 人々の「常識」を揺るがせるような存在は、いつの時代でも排斥されやすいんです。だって、自分が信頼しているこの世界を、ぐらぐらと頼りないものにさせてしまう存在なのですから。その上、Lunaは生と死についても何か特殊な考え方を持っているようですしね。生と死の境界なんて、わたし達生きている者にとって、一番はっきりさせとかなきゃ不安になってしょうがない、っていうものなのに。
 言ってみれば、Lunaは古いラベリングとしての、この世界の本当の「魔女」なんじゃないかと思います。

○亡き人を偲ぶ
 上の「魔女」の項でも書きましたが、彼女は生と死の垣根を微妙に揺らがせるような存在です。5巻の最後の方で、彼女は謎のアーチがある部屋でハリーと一緒に何かの声を聞きます。ハーマイオニーは、そんな声があるはず亡いと言いますが、ルーナは「死者は、ただ隠れているだけだ」と告げます。
 それ以外にも、彼女は物語の中でも死との繋がりがあるようです。誰よりも先に、セストラルが見えることを告げたのも彼女ですし、母親の死を目の前で見ているということもあります。
 彼女の発言は、これからの展開でどのような意味を持ってくるのかは分かりませんが、これからさらに犠牲が出るであろう中で、おそらく重要なものとなるでしょう。
 母を失ったことを「時々悲しくなる」と言いながら、それでもLunaは「お父さんがいるから」と言って、悲しみに沈み込んだり、過去を恨んだりしていません。母の死を悼みつつも、今あるものを大切にしている姿勢は、過度にポジティブでもネガティブでもなくて、読んでいてほっとします。

○見えること、信じること
 他人と見えるものが違うって、初めて気づいた時は結構びっくりしますよね。
 幼い頃から他人と違うものが見えていたLunaは、基本的にあんまり他人を否定しません。
 まあ、たまにはハーマイオニーに対して、怒鳴っていたりしますけどね。それも、ご愛敬ってもんです。6巻ではむしろ慰めたりしていて、一安心なんですけど。
 同じものを見ているつもりでも、人それぞれ見ている世界は違うんですよね。誰もに自分と同じであることを強制せずに、だからといって自分のスタンスを崩すわけでもなく、表向き飄々と過ごしていくのは、結構すごいことじゃないでしょうか。

○作品中の役割
 キャラクターがその作品の中で果たす、象徴的な役割って言うのがありますよね。ロンだったら「友情」だし、ハーマイオニーなら「知性」。ジニーやネヴィルは「成長」ってところでしょうか。ジニーは恋愛に、より重点が置かれていて、ネヴィルは自信のなさや欠点の克服なんてところにより重点が置かれている気がしますが。
 さて、我らがLunaはこの物語の中でいったいどんな役割を果たしているんでしょうか。
 そこでわたしは、「得体の知れない者との交流」っていうのが、結構大事なところなんだと思うんですよね。巨人とかハウスエルフとかの違う習慣を持った違う種族、スリザリンやレイヴンクローなどの今まで友好関係になかった違う寮の学生などなどと、これからの闘いに当たって、協力関係を築いて行かなきゃなりません。そう言うことを踏まえると、Lunaという存在は、「容易に理解できない他者とのコンタクト」という可能性を見せてくれるんじゃないでしょうか。
 その意味で、6巻になって彼女が周りに少しずつ受け容れられていく過程は、見ていてほっとします。確かに彼女は周りから見れば変ですが、変であるままにいられることが大事なんだと思います。

○他者理解としての在り方
 HarryPotterの世界って、魔法の世界の割には、意外に不合理なこと・理解できないことって排除される傾向があると思えるんです。まあ、どこの世界に行ったとしても、よく分からないことって恐ろしいんですけどね。
 そんな世界でLunaは、人それぞれ他人と違うということ、それでも分かり合えることがあるんじゃないかということを、何となく思わせてくれます。
 この世界は思ったよりずっと不合理で、理屈だけじゃ到底計りきれませんが、そんな中で彼女のような非日常をそのまま信じている存在がいるってことは、なんだか安心できます。セストラルが見えた時のように、他の人と違って不安になることがあっても、それはおかしなことではないんだよと、受け入れてくれることは他者理解の一つの在り方なんじゃないんでしょうか。
 Lunaがハリーの孤独を理解したように、誰かが彼女を受け容れてくれたのなら、本当に嬉しいんですけどね。頼みますよ、ローリングさん。

○最後に
語りたいだけ語り尽くしたので、すっきりです。
もし、この文章を読んでLunaを好意的に受け止めてくれる人がいるなら、これに勝る喜びはありませんね。記事を書いた甲斐があるというものです。

参考ページ
Wikipedia:Luna Lovegood
Wikipedia:魔女
* 2005/11/13(日) # [ 考察 ] トラックバック:0 コメント:0

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