÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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完全な真空
完全な真空
スタニスワフ・レム 国書刊行会

 SFは殆ど読んだことはないのだが、どこかでスタニスワフ・レムがいいという文章を見つけたので、試しに読んでみる。ちなみに作者はポーランド人で、ノーベル文学賞候補者にもなった人らしい。
 架空の本の書評集という形を取った小説。このような形式を取ることで、創作の自由と批評性の一石二鳥。傑作なのは、まず一番始めに「完全な真空」の書評が載っているということ。題名も「完全な真空」であることだし、結局実在しない本を読んでしまったのだった。
 前半に多い現代小説の批判的なパロディ・SFのアイデア集的なものと、後半にある科学評論的なものがあるが、どちらも質が高いと思えた。どちらかというと、後半の方が好みではある。
 以下で、特に面白かったものを、いくつか紹介。

「性爆発」(原題sexplosion)
ある化学物質によって、世界中の人々から性欲が失われて、世界に危機が訪れるという話。誰ももう、性行なんてしなくなったのに、日本人だけが国のお達しによって、生真面目に性行に及んでいるというくだりが面白い。
性欲が無くなったって、人間から欲望なんて消滅しません。
スクランブルエッグをストローですすうのは、最高に変態的だと思う。

「生の不可能性について/予知の不可能性について」
両親が出会う確率。母親が生まれた確率。この世界に生命が生まれる確率。「自分」が生まれて来るまでに、様々な因果関係の意図が連なっている。その糸をたどって自分が生まれる確率は、いったいどれくらいなのか。
結果的に、自分が生まれてくる確率は非常に低くなり、この宇宙全ての時間の中でもあり得ないような確率になってしまう。物理学的確率論が正しいのなら、「自分」という生命の存在は不可能である。さもなくば、確率論が間違っているのか。
結局前提がずれていると、矛盾が生まれてしまう、と言う話。

「われは僕ならずや」
コンピュータによってプログラミングされた、数学的次元を素にして作られた存在、サイバネティクスを観察する実験。そして、サイバネティクスによって語られる、神の存在論。
果たして神とは全能の存在なのか。

「新しい宇宙創造説」
なぜ宇宙は膨張しているのか、どうしてミクロを説明する量子力学とマクロを説明する相対性理論が統一できないのか、など「宇宙がなぜこのような姿であるのか」を説明する、本書一番の力作。
「なぜ」という科学には馴染みにくい問いに対して、ずばっとあっと驚く仮説を示してくれる。
勿論奇想天外な仮説だが、架空の理論を提唱することによって、ビッグバン理論や不確定原理に対してつきつけるものがあるように思える。

「ギガメシュ」(ジョイスのユリシーズへのパロディ)や「とどのつまりは何も無し」(ヌーヴォーロマンへの批判)などは、読み手であるこちらに元ネタとなる知識がほとんど無いのと理解力不足で、よく分からない箇所が多数。
* 2005/10/27(木) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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