÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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ジャック・デリダ 叢書・ウニベルシタス

 反覆しつづける、愉快なおちょくりエクリチュール。デリダ=サール論争の愉快な経過がこの一冊に。
 あらすじ。デリダが「署名、出来事、コンテクスト」(略してSec)を発表→サールの反論の概要→デリダの再反論「有限責任会社abc…」→しばらくたってからのデリダのまとめ「討議の倫理に向けて」
 蓮實重彦の「『赤』の誘惑―フィクション論序説」を読んでいたら出てきたので、読んでみた。普通に想像する『真面目な』学術論文とはほど遠い、けれど出来る限り誠実であろうとしたデリダの論文。言語行為論についての本らしいけれど、門外漢の私はひたすらサールのSec解釈に対する反論である「有限責任会社abc…」が楽しかったです。オースティンの構築した『フィクションは真面目なものではないので除外する』言語行為論を擁護するサールに対して、随所に溢れる言葉遊びやずれていく討論、数々の引用翻訳誤読などを含んだ『真面目な』論文という形式で、恣意的な『真面目/不真面目』『重大/重大でない』という政治的境界をおちょくりたおしていくデリダのやりくちは、読んでいて愉快でした。
 題名も仕掛けいっぱいで楽しい。原題は"LIMITED INK abc…"で本章はdからzまで。仏訳の題が"Societe A Responsabilite Limitee"で略して"Sarl."InkはIncとかけてある。
 で、この論文のひとつの大きな特徴がサールの論文をほぼ全編引用していること。細部を大事にしろ!自分の都合に合わせて適当に読むな!ということで、なんで蓮實重彦がこの本が好きなのかが何となく分かります。
 表現されたものはパロールだろうがエクリチュールだろうが、ひとたび発せられたとたん、表現者の意図=志向からも乖離して、ただ漂流物として在る。という、Secでの主張が個人的に印象に残りました。
 最後にに一番面白かった箇所から引用。デリダも筆がのりにのっているのか、全編こんな感じ。
(引用者注:サールが言うには)Secによれば、「意図=志向はすべて意識的でなければならない」というのである。告白せざるをえないが、私はこの文を見て目を丸くした。私は夢を見ていたのだろうか?誤読していたのだろうか?誤訳していたのだろうか?私がたったいまそれを望んだように、テクストが突然、揶揄的になってきたのだろうか?われわれの討論が、ますます冗談めいてこようとしていたのだろうか?
* 2010/05/12(水) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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