÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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夏の西部劇フェア
 BSで西部劇特集をしていたので。
 響く銃声、男と女、友情、生と死、家族の繋がりとアウトサイダーの孤独、暴力による無秩序と法の秩序のせめぎ合い。
 色んなエンターテイメント要素が詰まったアメリカ映画の古典。マカロニウェスタンは逆輸入だけれど。
とりあえず楽しいから良し。

荒野の決闘
 有名なタイトルだけれど、どちらかというと銃撃戦より人物達のドラマがメイン。
 他の作品と違って、一発の銃声が非常に重い。ムダ撃ちがほとんどないぶん色々と凝縮されている。語らない分だけ銃声の説得力が増し、命の比重が増し、友情や恋の重みが増していくのだけれど、その重みは決して鬱陶しいわけではない。
 優しく郷愁を誘うような主題歌「いとしのクレメンタイン」も、一歩間違えればクサくなってしまうのだけれど、この映画にはその古くささがよいです。
 http://www.youtube.com/watch?v=CQ5SAN9p8gU
 あと、画面にすごく奥行きが感じられて面白かった。西部の岩と砂の広大な景色と、酒場の雑然とした背景のどちらにも、遠近感がたっぷり。


荒野の七人
 音楽が壮大で楽しげ。黒沢の『七人の侍』と較べると、貧しさのもたらす強固な湿っぽさが抜けていて何となく物足りないけれど、単体で見ればそれなりに。
 『七人の侍』で死ぬはずのひとが死んでいなかったり、またその逆だったり結構どきどきして見れました。なんやかんや言って、やっぱり登場人物のキャラクターは魅力的だし。大男と子供達のグループが可愛い。金にしか頭にない山師のラストもすごくいいし、亡霊に苛まれる凄腕賞金稼ぎも素敵。そしてナイフ投げガンマン格好いい!
 


荒野の用心棒
 イーストウッド主演マカロニウェスタンの有名作。西部な感じが全然しない、イタリアの丘と白塗りの簡素な家の周りで巻き起こる、魅力的な暴力によるショウ。
 正義や愛情から徹底的に引き離されて、ただ過剰に画面から満ちあふれてくる銃声や人を殴る鈍い音、虐殺の音が痛々しい。暴力には大儀がすでにないからこそ、どこまでも膨らんでいって、それ自体が目的のような印象。
 そういえば本家『用心棒』のほうもはじめて血飛沫をリアルに表現しようとした暴力描写が話題になったんでしたっけ。
 主人公の行動倫理ははっきりしないけれど、過去の恋人への悔いや、酒場の親父との友情など、ほんの少しだけ滲むような情のあり方が、描かれ方は全く違うけれど本家の『用心棒』にもどこか通じるようで面白かった。どっちもいいなあ。
 オープニングのアニメも楽しいので貼っておきます。内容も結構このアニメのまんまです。音楽も格好いいよ。


シェーン
 画面を見るだけでひしひしと伝わってくる、溢れんばかりの風景とそこに登場する動物たちへの愛情!
 ちょこちょこと登場する鹿や犬や馬が可愛すぎます。そして包み込んでくれるような水と緑溢れる自然にのびのびできます。 
 こんな感じ。
 ストーリーのあらすじ。流れ者のガンマンであるシェーンは、悪徳カウボーイであるライカー一味がのさばる地域にやってくる。そこで自分たちの農場を築こうとする開拓農民のリーダー、スターレットと彼の家族に出会う。シェーンは農場でともに働き、シェーンに憧れる息子を中心に、スターレットやその妻と交流を深める。しかし、ライカー一味の嫌がらせが続くなかで、ついに農民の一人が殺害される…。
 シェーンはスターレットの奥さんに惹かれていたというより、決して自分には手には入れないスターレット一家の家族の絆に惹かれていたように思えました。強くてもはぐれものであるシェーンとスターレット一家の暖かい交流は、ベタですがやっぱり素敵でした。
 ラストシーンの家族の絆に惹かれつつも、銃を手にして去っていくシェーンは格好いいなあ。決闘シーンの犬も非常にかわいいし。というかシェーン死亡説ってなにそれ、かわいそすぎる。
 日本語あらすじはこの動画が分かりやすいです。http://www.youtube.com/watch?v=Qvga6EKqxUA


ワーロック
 『西部劇』で理想の格好良い男を集めてみました、という感じ。街の平和と、男と女、男同士の愛憎が絡まり合って、緊張感が画面にみなぎる120分。
 今見たら、雇われガンマンは『荒野の決闘』で主役をやってるヘンリー・フォンダなのか。彼が演じる保安官と、片足が不自由なイカサマ詐欺師の関係が素敵すぎる。銃を持つ二人の緊張感をはらむ力関係や、忘れられない過去の女や、アウトローとマイノリティの孤独を背景にして、微妙な陰翳を持っていてかなりよろしい感じ。同性愛的雰囲気と言われているけれど、濃厚な友情と信頼関係でもある彼らがたどる結末は、西部劇としてはこれ以上ないんじゃないだろうか。庶民である主人公と対比される、彼らのゴージャスな身なりもカラー画面に映えて格好いい!
 そんな人間ドラマもいいですが、圧倒的な強さを持ちながら非合法な存在である雇われガンマンと、そんな彼に力では及ばない元ギャング一味の保安官が、街をどう守り、無法者どもと渡り合っていくのかという、西部劇お馴染みのテーマも練られた脚本でスリリングに見せてくれます。
 最後の無音の決闘もおすすめ。黄金の銃の早撃ちなんて、なんて豪奢に格好良さの無駄遣い。
 とにかくアメリカ西部劇のおもしろさを凝集した一本で、おすすめです。あまり有名じゃないですが、良作なのでもっとみんな見るといい!
(動画には紹介するのにあんまりいいのがありませんでした)


明日に向かって撃て!
 ニューシネマ的西部劇。
 あらすじ。壁の穴強盗団として列車強盗などの悪事を働いてきたブッチとサンダンス。首領のブッチは口達者でサンダンスは早撃ちの名手。しかし彼らに凄腕の保安官らによる追っ手がかかり、ブッチとサンダンスは仲間を失い、這々の体で逃げ出す。サンダンスの女であるエッタと彼らは金脈のあるというボリビアへ脱出するが。
 彼らは西部では有名な強盗ですが、実はブッチは人を撃ったことがないし、サンダンスは泳げない。開拓地だったはずの西部には保安官による法の規律と秩序の力が幅を利かせ、彼らは敵わず追い出されてしまう。まだ残る夢の『西部』ボリビアでも、銀行強盗くらいしかできないから、やっぱりお尋ね者になる。で、例のごとく女には見捨てられる。
 一番身につまされるのが、ボリビアでの給料運びの護衛をするシーン。警察に追いかけられてまっとうな仕事をしようとしたら、銃の腕を買われてすることになった護衛の仕事。カタギの人々にたかってむしり取るという、それまで自分たちの列車強盗という悪行の矮小版である給料泥棒たち。ブッチとサンダンスは今までバカにしてきた『仕事だから』という言葉によって彼らを撃ち殺すしかなく、それはつまり今までの自分を殺したことに他ならない。そして依頼人と山賊の死体を前にして、彼らが自分たちがまともに生きることなどどだい無理なのだと悟るシーンは哀しいことこのうえない。
 まさに保安官の『お前たちは長く生きすぎた。お前らみたいな奴は血にまみれて死ぬしかないのに』の言葉通り。
 そんなニューシネマっぽくダメダメな感じで、アウトローである彼らにはどこにも逃げ場なんかないんだと徹底的に分からせられて、結構ドンヨリな感じの映画です。
 それでもあんまり暗い気持ちにならないのは、主人公の凸凹コンビのふたりがいつもゆるくユーモアを持って会話しているからだと思う。ラストの口論のあとのオーストラリアの話も、追いつめられて、助からない傷を負い、大量の警察に包囲されたなかで、彼らに残された最後の逃げ場所である『西部』(もちろんそんなところはない)なんだなあ、と思うと、西部劇もここまで来ちゃったのかと悲しい。
 あと音楽は楽しいです。
 原題は主人公二人の名前を並べた「Butch Cassidy and the Sundance Kid」でシンプル。邦題『明日に向かって撃て!』のほうはおそらくニューシネマの有名作「俺たちに明日はない」を意識して付けたと思うけれど、この映画にはそのノリほど無茶なまでに明日を信じる力はないと思う。
 とつらつら書きつつも、ラストシーンの二人のショットは素敵としかいいようがない。もう彼らの行き先は叶わないと知っている夢の中にしかないし、避けられるはずもない一斉放射の銃撃音がかぶさっていても。


「ワイルドバンチ」
 これから見る。

 さて、これらの西部劇は後のニューシネマや諸々のアメリカ映画を見る参考にもなったらいいなあと思いつつ。
 暴力を手に何かに乗るというのは、アメリカ男『カウボーイ』の基本だし。バスにタクシーにスペースシャトルに爆撃機と、何でもござれ。参照
 銃という暴力によって、無秩序な『開拓地』を法に従わせようとすること(あるいはそれがいかに矛盾であり難しいことなのか)は、今のアメリカ映画にももちろん通用するテーマだし。
 娯楽映画に楽しみつつ『アメリカって何?』と問い続けているようなところが、アメリカ映画の楽しさの一つだと思います。(でもたまに疲れる)

* 2009/08/16(日) # [ 映画感想文 ] トラックバック:0

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