÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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日本文学史序説
日本文学史序説
加藤周一 ちくま学芸文庫

 文学史とはなんぞや?それは作者や作品名の羅列ではなく、その表現物の蓄積から日本を探っていく試みである。
 小説・随筆・短歌・俳句・歌舞伎・書画などなど日本文学のあらゆる表象から、日本の精神的特徴や思想(あるいはその不在)を読み解いていく試み。上下巻約1000ページで、文字の生まれた頃の古代から第二次大戦前まで。古事記・万葉集から蟹工船まで。本当に忙しい人は、最初の30ページだけ読めば概要は分かります。細かいところで異論、反論はあるのだろうけれど、日本文化についての議論の土台となるだけの力作。とにかく読め。
 様々な日本の表現を評するのは、日本史全体を見通す大局的な観点と、その当時の社会から見る社会的観点、そして作者個人の人生から読み解いていく個人的観点。その三つをバランスよく、しかも的確に採り入れて読みやすく仕上がっていて、よく知っている作品も歴史的にはこういう位置づけなのか、と思えて面白い。あと作者の冷徹なツッコミも楽しい。戦なき時代に『理想の』武士道を描く「葉隠」の動機とか、誰でも書けるから誰でも書いた戦前の自然主義作家とか、結構扱いが。
 儒教とか、荻生徂徠とか、本居宣長とか、名前だけ知っていてもいまいちぴんと来なかった人たちも、この本でどういう流れから作品を位置づけることが知ることができてよかった。和歌とか歌舞伎とか、あんまり興味ない分野もちょっと気になる。

 やっぱり日本の歴史に関する本を読んでいて一番面白いのは、馴染んでいるものたちの起源と歴史の繋がりが肌で分かる感じだなあ。様々な例外はあれど、日本文化のベースにあるのは現在を対象にした繊細で微妙な感情表現。文字や宗教など外国文化をいちはやく咀嚼し、自分の文化に使いやすく改変していく貪欲さ。そして抽象的、統一的な世界観や倫理の不在。この流れは今のJ-POPのような日本の歌や、芥川賞なんかに代表されるいわゆる現代日本文学なんかにも脈々と続いていると思うし。日本の文化とか社会とか精神とか、それらの繋がりに興味がある人は読んで損はないと思います。むしろ必読。
* 2009/01/14(水) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0

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