÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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読書色々
今月は自然科学推奨月間

進化しすぎた脳
池谷裕二 朝日出版社

 大脳生理学者が中高生に語る講義形式、というわけで読みやすかった。最先端の脳科学について。
 「見る」ことの不全にたいして脳が穴埋め解釈することで起きる錯覚の話や、脳波から直接ロボットアームを操作するサルや、逆に脳に直接命令することで動かす<ラジコン>マウスの話など、興味深い話題がたくさん。
 神経細胞のシナプスでの伝達など、昔習ったことよりどんどん解明が進んでいるのだなあと思いつつ。
 一番面白かったのは扁桃体の話。ここは恐怖という感情(理性?)を司っている場所。研究によると、危険なものという認識→『こわい』というありありとした感情(クオリア)と、危険なものという認識→回避行動、という経路は別らしい。扁桃体にあるのは後者。で、これを取り除くと本能のままに行動してしまう。普通は危険→『こわい』→回避行動だと思っていたので、感情と行動の相関性が不思議に思えた。
 ところで脳は体からの入力によって作られる部分が大きいので、AI(人工知能)をつくっても、人間はその思考を理解できないのではないか、というところでレムのゴーレムを思い出した。SFとかでもっとそういうところを取り上げてくれると、個人的には嬉しい。人間の焼き直しにすぎない異星人やロボットはちょっと飽きたというか。
 脳に基づく認識論とか心身論とか、哲学や文学で活かしたら、(もうあるのかもしれないが)もっと面白そうだと思う。


偶然と必然
ジャック・モノー みすず書房

 タイトル買い。副題は原題生物学の思想的問いかけ。ノーベル生物学賞受賞者が書いた、数十年前のエッセイ。フランス人ぽく実存主義的な、科学の突きつける倫理について。
 以下、面白かった部分。自分の生まれる確率も、こんな感じなんだろうか。
宇宙の中で起こりうるあらゆる出来事の中で、ある特定の出来事が生ずる先験的な確率はゼロに近い。ところが、宇宙は実在しており、その中で確率が(それが起こる以前には)ほとんどゼロであったある出来事も、確かに起こるのである。現在のところ、生命が地球上にただ一度だけ出現したということ、したがって、生命が生まれる以前には、その出現する確率はほとんどゼロであったということを、肯定する権利も否定する権利もわれわれはもっていない。


「ゼロから無限へ 数論の世界をたずねて」
 数学の数についての解説書。意外に長くなったので、また別項にて。

フェルマーの最終定理
サイモン・シン 新潮文庫

 17世紀のフランスの数学者、フェルマーが残した簡潔な定理を、300年経って最新の数学論理を使って証明するまでを描いたノンフィクション。各個人の伝記と、数学の大統一という壮大なロマンが重なる。数学的内容はあんまりない。
 ハイゼンベルクの不確定性原理とゲーデルの不完全性原理をごっちゃにしていたのが判明。(量子の運動量と位置の両方を同時に正確に知ることはできない)と(真なる命題が数学体系内で必ずしも証明できるとは限らない)

異端の数ゼロ
チャールズ・サイフェ 早川書房

 数学界の異端児、ゼロと無限が西洋にていかに避けられ、そして受け容れられてきたかについて。数学の概念さえ破壊しかねない、それでいて神のような働きをする不思議な数たちへの探求の軌跡。
 高校で数学と物理を少し学んでいると分かりやすいかと。乾いたユーモアが随所に挟まれていて、面白い。÷0が可能ならば、チャーチルとニンジンが同じものであることが数学的に証明可能なのです。


ウォール街のランダム・ウォーカー
バーハン・マルキール 日本経済新聞社

 第8版。不景気って何だろうと思って読んでみた。オレはウォール街に打ち勝ってみせる!という本。投資理論の解説とそれにもとづく投資指南書。個人的に解説書に必須な、分かりやすい比喩・豊富な具体例・愉快なユーモアがふんだんに含まれていたので、面白く読めた。解説自体も丁寧で良心的なので良い本だと思う。内容を鵜呑みにするかどうかは別として。
 内容を要約すれば『インデックス・ファンンドに長期分散投資しましょう』
 市場は社会心理に大きく左右されながら、最終的にはおおむね合理的に値段を織り込んでいくと言うことでOK?チューリップバブルとか、南海株式会社バブルとか、何世紀も前からあんまり変わらないもんだな、と思いつつ。
 面白かったのは、チャートに基づいて投資するテクニカル分析をボコボコにしている章。欧米の(イヤミっぽい)論理的なユーモアは、私としてはツボだと思う。
* 2008/11/29(土) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0

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