÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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現代倫理学入門
現代倫理学入門
加藤尚武 講談社学術文庫

 現代倫理学の論点を身近な問題から説明している本。初心者向けとなっているけどカントとかベンサムとかミルやロールズについて、何考えていたのかおおざっぱに知っていないとわかりにくいかもしれない。各章短くまとまっていて読みやすいが、「答え」がないからといって章の最後がいつも投げっぱなしのような。他人に迷惑をかけなければ何をしてもよいのかとか、思いやりだけで道徳の原則ができるのかとか、その他環境倫理や科学・生命倫理についていろいろ。
 筆者が本書の内容を大雑把にまとめた言葉がこちら。
欠点だらけの功利主義的自由主義にしか倫理学に未来がないという危機を、マルクス主義はすっかりダメだと捨てた上で受け止めなくてはならない。
 そもそも、ある程度社会が落ち着いていて経済的にもそこそこ豊かでないと、民主主義とか自由主義も逆に格差を拡大して不平等な結果を招くしかないらしいのがわかった。
 自由市場に基づく資本主義社会にふさわしいというか、他にこの社会により適切なものがない以上、功利主義的自由主義が共通指針となる。ミルが提唱した功利主義は、私たちは他人に迷惑をかけなければなんだってできるけれど、『倫理』は何をするべきか教えてはくれない。それこそが強制から自由である自由主義の本質である。そして、『善』はそれ自身を定義できない。功利主義に幸福を計る確かな尺度はなく、それゆえにすべてを貨幣に換算して計る市場社会との親和性はバツグンである。
 あと私たちには愚行をする権利もあるけれど、たとえそれに強制的な罰が伴わなくとも、共同体を乱すものとして仲間はずれや侮蔑などの社会的制裁が加えられるおそれがあります。気をつけましょう。
 結果を考慮せずにひたすらひたむきに善を成すことを命じる、カントの市民っぽい倫理も魅力的だけれど、普遍化するには無理がありすぎるし。ロールズによる修正もなかなか難しいし。最小限のルールだけ法で定めて、あとは個人の御勝手に、ってところなんだろうけど、なげやりにするしかないよなあ。むずかしい。
 ところで今はあまりよい意味で使われないことが多いベンサムの「最大多数の最大幸福」だけれど、彼自身はそれがすべての人の幸せに導かれる最良の道なのだと信じていたすごくよい人らしいのが意外。ただ、すごく楽観的過ぎただけで。
* 2008/11/10(月) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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