÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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泰平ヨンの航星日記
泰平ヨンの航星日記
スタニスワフ・レム ハヤカワ文庫

 レムさんのユーモアSF。相変わらず私の好みの感じで大変によろしい。
 概要。宇宙を旅する泰平ヨンの、奇想天外なSF短編集。
 『死んじゃったので宇宙船から放り出した叔父さんが、宇宙船の重力によって宇宙船の周りを2分に一回の速度で公転しているので、最接近したときにぶつかる彼の足の音を時報がわりにしている』という描写に心惹かれるような人には大変お勧めです。そして今回も翻訳が妙な味を醸し出していて、これも良い。
 そもそも7から28の「~回の旅」という章名が付いているのだけれど、書かれているのは時系列の順番ではなく、その編纂内容にも凝った仕掛けがしてあるのが、いかにもレムという感じがする。泰平一家の家系を描いた「第28回の旅」は無茶苦茶な内容の上に認識論まで絡んできて、わけがわからないし。
 初期に書かれた資本主義・社会主義・官僚主義・キリスト教をさりげなく風刺している短編は、面白く書かれてはいるが何となく底が見える気がする。というわけで、いかにもレムらしい学術的な描写で人間そのものをからかっているような「第21回の旅」が一番面白かった。身体改造の歴史学的系譜とそれにともなう神学の変遷。神とはすなわち、あらゆる可能な事実のあらゆるヴァリエーションを楽しむだけのゆとりのある精神。
 あと、ベテラン宇宙飛行士が闘った触手宇宙人の正体が「じゃがいも」だったことについて、学術論争がたたかう「第25回の旅」とか。馬鹿馬鹿しいことを、まじめに正しく馬鹿馬鹿しく書かれているのを読むのは、大変に楽しい。
 SFという形でしか描けない、常識や「人間」という枠組みを越えた、とんでもなく冒涜的でかぎりなく自由ですばらしく愉快な話を作ってしまうレムはすごいなあ、と改めて思った次第。
なぜならば吾輩は航行を続けなくてはならぬからだ。この先長い歳月を、吾輩は飛んで飛んで、飛び続けるのだ。
* 2008/09/23(火) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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