÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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今日はとことん「清水義範」
○はじめに
半端なく長くなってしまいました。面倒くさい人は、適当に拾い読んでください。



 私が一番はじめに好きになった作家の紹介。
 日本では希少なパロディストであり、雑学おじさんであり、教育について語ってみたり、文学を解説したり、たまにはシリアスな小説も書いてみたりする。本業はユーモア短編(だと思う)だけれど、時代小説だって、SFだって、なんちゃってミステリだって、何でもござれ。誰にでもあっさり読める面白作品が多い、素敵なエンターテイメント。
 特筆すべきは、やっぱりパロディ。ステレオタイプとなったイメージを、こんなにも魅力的で面白く、愛情込めて書く人は他にいないと思う。
 今までに書いた作品は、おそらく200作以上。わたしが読んだのは、ちょうど100作。
 最近は西アジアの方に関心があるようです。でも、あまり読んでないので知りません。
 普及させるにはあまりにも閲覧者の少ないサイトだが、それでも紹介してみる。少しでも気になった方は、本屋さんへどうぞ。絶版ものも多いので、図書館かBOOKOFFに行けば、山のように積んであります。
○最初の一冊
秘湯中の秘湯
少し古いけれど、これで。よくある秘湯ガイドを茶化した表題作や、消臭剤のアンケートの解析、一昔前の流行歌を再翻訳したらどうなるかという実験作など、くだらないけれど楽しい作品が沢山。一押しは、『結婚したい女性・百三の条件』三つのはずが、103も条件を付けることになってしまった主人公があほらしくて可笑しい。103も条件を付けているうちに、何だかだんだん無欲になってきます。
あとは「世にも珍妙な物語集」は癖がないけれど、清水エッセンスがあふれていると思う。

○やっぱりパロディでしょう
以下、紹介する本は全部短編集

深夜の弁明
なんといっても『三流コピーライター講座』
「あなたの~は間違っている」とか「二十一世紀は~」など手垢の付いたコピーを使って、コピーの基本を学ぶ話だが、常連投稿者の回答が可笑しすぎる。回答だけで投稿者の個性が見えてくるのも楽しいし、ちまたにあふれるコピーの風刺でもあるのでにやりとさせられる。
動物ワンダーランド ヒト特集
『鉄版社文庫・解説目録』がベスト。読書好きなら一度は目を通したことがあると思う、文庫目録の世界唯一のパロディがここに。あとは、『マーケティング天国』よくあるマーケティングの報告書で、乾電池のCMやめんつゆのこれからを解説する。三重丸攻撃にやられること請け合い。
世界文学全集
これを読んで、外国文学に興味を持つようになりました。パソコンマニュアル風聖書、2流女子大生の学生論文で読み解くシェイクスピア、週刊誌の記事が暴くボヴァリー夫人のあきれた性癖。そして、20世紀文学の主人公達はざわざわと対話し始めるのである。
私は作中の人物である
珍しく実験小説的な要素も混じっている短編集。棋譜になぞらえた夫婦喧嘩とか、田舎の伝承をいかにもいそうな蘊蓄おじいさんがまとめたものとか、カルトなクイズ番組パロディとか結構濃いめ。

○名古屋偏愛時代小説
作者の出身が名古屋ということで、時代小説では名古屋が舞台のものが多い。時代小説といっても、彼が書くととたんにそれは、今ある「歴史」のパロディになってしまうのだ。

金鯱の夢
もし、徳川ではなく豊臣家が幕府を開いて名古屋が首都になっていたら、という話。歴史実証的な視点ではなく、楽しい歴史エンターテイメントとしてどうぞ。一応豊臣家が政権に付いているけれど、基本的な流れは江戸時代と変わらない。だが名古屋弁が標準語となり、江戸訛りはださい、という国であり、歴史は微妙なパラレルとして流れていく。意外にセンチメンタルなラストはほろりとくるし、日本史について多少知っていたのなら、そのパロディとしてにやにやしながら読める。
開国ニッポン
もし、江戸時代の日本が鎖国をせずに開国していたら、という話。開国時代の由井正雪は、浪人達にどのような希望を見せるのか、本当の世界漫遊記を書いた平賀源内は後世にどのような影響を与えるのか、こうあったら面白かったかもしれない歴史を見せてくれる読み物。ついでに、ちょっと国って何だろう、歴史って何だろうと考えてみても良いと思う。
他にも、吉良側から忠臣蔵の話を見てみる「上野介の忠臣蔵」や、商業によって藩を栄えさせようとして農業重視の吉宗から蟄居を命じられた尾張藩主の話「尾張春風伝」など。「偽史日本伝」もおすすめ。

○大好き!ご老人!
清水義範といえば老人。老人といえば清水義範。元気な高齢化社会を先取りだ!
やっとかめ探偵団」シリーズ
名古屋弁でしゃべるばあちゃん達の推理もの。やたらものを悔いまくる婆さんや、いつも嫁の悪口ばかり言ってる婆さん、昔遊女をやっていた艶っぽい婆さんやら個性的な面々を率いて、今日もリーダー格のまつをさんが難事件を、豊富な人生経験に基づきずばっと解決。名古屋TVによってアニメ化もされています。こちらもお勧め。追記)途中で放送中止に。何かまずい描写あったっけ?
少し異色で行けば、「国語入試問題必勝法」におさめられている『靄の中の終章』
ぼけ賭けた爺さんの意識が克明に文章になっている。他人事ではなく、最後が怖い。原題は「傷のあるレコード」個人的にはこちらのほうが好き。
その他多くの短編で、爺さんや婆さんが色々がやがややっています。

○サイバラ画伯と「お勉強」シリーズ

人気シリーズだが、最近は正直引っ張りすぎている感もする。個人的には「社会科」あたりで手を引いても良かったんじゃないかとも思う。国語・算数や雑学まで幅広くカバー。
ぐだぐだと清水ハカセが解説書と首っ引きになりながらなんとか解説して、それをサイバラ画伯がかみ合ってるんだかそうなんだかわからない調子の強烈なカットで落とすというタッグ。
おもしろくても理科」「もっとおもしろくても理科
全てはここから始まった。この本のおかげで、理科嫌いにならず、ひいては大学にも行けたと言って言い過ぎではない、私にとっては大恩のある本。慣性の法則から始まって、生物の進化・ビッグバン理論、化学の実験、果ては海辺の生物まで、気楽なエッセイを読みながら楽しく学ぶことができます。

○そういえばSFも

銀河がこのようにあるために
「お勉強」シリーズで調べたことがそのまんま作品に出てきていて、シリーズ既読者は思わずにやりとなるSF長編。内容は、新興宗教やら新しい生命やらで色々ごった煮になりすぎていて焦点がぼやけている感じもするが、なかなか考えてある近未来の設定が面白い。
あとは、「博士の異常な発明
もちろん題名は、SFの名作「博士の異常な愛情」のパロディ。そのまんま、面白発明が引き起こす喜劇やホラーを描いている。さらっと読めて、楽しい好SF短編集。アイボをもとにした話があって、時代を感じる。


○その他色々

国語入試問題必勝法
とにかく一度読め。表題作もいいが、個人的には定年後の老人によるリレー小説「人間の風景」が一押し。
幻想探偵社シリーズ
SFミステリという分類だと思う。アルファベットシリーズとは違って、こっちはもう完結しないんだろうか…。
スシとニンジャ
時代劇マニアのアメリカヤンキーが日本に来て巻き起こす珍道中。異文化コミュニケーションがユーモアに包まれて、少ししんみり書かれてます。
発言者たち
言葉を発信するとは何なのか。

○個人的ベスト短編

『また逢う日まで』(文庫「グローイングダウン」所収)
 SF短編集の中の一話。都会の生活に負けかけている青年の隣に引っ越してきた、頭が切れて優しいお婆さん。この短編は、不思議な頼もしい老人と共に青年が成長していく青春小説であり、実はロマンティックなラブストーリーでもあるのだ。読み返してみれば、あなたもお茶目なお婆さんにめろめろになること請け合い。歌と共に流れるノスタルジーが、小道具として上手く使われている。こんなお婆さんが隣に引っ越してきてほしい。



 この人の作品はパロディ精神にあふれていて好きなのだが、何が良いかというと、原典に対して愛情が込められていることだと思う。パロディ化するものが、有名文学作品であれ、文庫本目録であれ、「歴史」であれ、その辺にいそうな人々の言動であれ、対象が好き(言い過ぎであれば、興味がある)だからこそ茶化しているのが分かる。そして嫌みのないユーモアが、原典との適切な距離感をとることで、面白く読めると共に、原典を新たな視点から読み直すことができる。
 だからこそ、この人のパロディは、原典をよく知らなくても楽しめるし、知っていればもっと楽しめるし、原典を知りたくなるようにさせる力のある作品だと思う。
 何が言いたいのかというと、「とにかく読め」

 というわけで、語りたいだけ語り尽くしたので満足。

参考サイト
永遠の清水義範
ほとんど必要な情報は網羅されており、ここさえ見ればあらかたのことは分かるというとても便利なサイト。
* 2008/08/11(月) # [ 企画 ] トラックバック:0 コメント:0

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