÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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ノヴァーリスの引用
ノヴァーリスの引用
奥泉光 集英社文庫


 「葦と百合」と同じく、ミステリ風味のアンチ・ミステリ。とは言っても、短くまとまっており、文体も簡潔。奥泉を初めて読もうと思う人にお勧め。ちなみにノヴァーリスとは、神秘主義の詩人。
 あらすじ。「私」は恩師の葬式を切っ掛けに集まった大学時代の同級生達と、10年前に不可解な死を遂げた後輩について議論する。語っていく内に次々に変化していく、後輩の死の真相とは。
 語れば語るほどに曖昧になっていく、記憶と過去にあったはずの事実。死者は何も語らず、ただ生者が思いだしたときにだけ、形を変えて関係性を持つことが出来る。話の筋だけでなく、少し脱線したような生死論・日本人論など衒学的要素も楽しめる。
 それにしても、「葦と百合」といい、青春懐古調は読んでいて少し気恥ずかしい。青春時代の思い出に、記憶の改竄は付き物だから、奥泉作品のテーマ(?)とぴったりと言えばそれまでだが。
 他の書評でも引用されているのを見たが、
『あなたたちは祈ることをしない。だからぼくはあなたたちを信用しない。祈るっていうのは想像するって事でしょう? 今とは違う現実に向かって、こことは違う場所に向かって、リアルに、いろいろに、想像を巡らせることでしょう?』
『理解されることなんて僕は最初から望んでいない。人間は本当に理解しあうなんてことは絶対に出来ない。でも、人間には理解しあう以上のことができるんじゃないでしょうか? あなたたちは僕を理解しないで、僕があなたたちを理解しなかったのはたしかだと思います。しかし、本当は、僕らは理解しあうことなんかじゃなくて、もっと別のことをすべきじゃないでしょうか?』
文庫版 p.144とp.146
やっぱり、この2つのフレーズは秀逸だと思う。

 そういえば、この前読み返した「グランドミステリー」で友部氏(範子の義兄)がさりげなくノヴァーリスの引用をしていた。ファンサービスなのか、見つけると嬉しい。
* 2005/09/16(金) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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