÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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錯乱のニューヨーク
錯乱のニューヨーク
レム・コールハース ちくま学芸文庫

 題名と表紙につられて。数々の大きなプロジェクトに携わってきた一流建築家がつづる、ニューヨークのバイオグラフィ。こう書くと地味だけれど、中身はすばらしくセンスが良くて面白い。
 欲望をかなえる人工の美女、常に不安定に変化を続ける女優、マンハッタン。隣接するコニーアイランドでの奇想天外な実験を終えたのち、外見と機能が分離した孤独な摩天楼という都市が花開く。マンハッタンの「過密」という魅力にとりつかれ、解消する振りをしながらより一層押し進めていく建築家達。そして世界恐慌による安価な労働力と有り余った時間を背景に、理想主義の建築物ロックフェラーセンター、マンハッタンの象徴ともいえるべき存在が建設される。ダリとコルビジェによるヨーロッパの反逆は、あえなくNYの中に呑み込まれていく。
 題名から察せるとおり、センスある言葉の選び方に惚れ惚れする。そして建築家としてのエッジの利いた文章。内容はもちろん、文章それ自体もとても楽しめる。こんな感じ。
マンハッタンの2028個の各ブロックはどれも潜在的に一艘の方舟として―あるいはたぶん阿呆船として―、たっぷり快楽主義を味わった挙句の贖罪への要求と約束を掲げて乗組員を募りながらさまようことができる。
 こうした豊かな状況の中で、これら方舟たちは累積的なインパクトをもたらして、一種の楽観論(オプティミズム)を生む。こうした方舟があるおかげで、破局(アポカリプス)の可能性は陳腐なものに見えてしまうのである。
 挿入されている多くの図版はイメージを誘うし、摩天楼ドレスとそれぞれを代表する建築物の帽子をかぶって写っている一流建築家たちのバレエ写真が笑いを誘う。(参照
 ちなみにこの本で描かれているのは、マンハッタニズムのモデルとしてのNY、フィクションとしてのモデルのNYであり、現実に存在するニューヨークとは少し違う。
 1920年代にフェリスが描いたゾーニング法(都市計画を規制する条例)に基づくデッサンはあいまいさを含む夢のようでありながら、現実となるべき未来を描いたフェリスのデザイン画の解釈とか、読んでいて非常にわくわくする。
 さすがにNYには行けないので、Google Earthを見ながら摩天楼に思いを馳せると楽しい。
「我はビジネスなり。
 我は利益にして損失なり。
 我は実用なる地獄に堕ちたる美なり。」
* 2008/06/24(火) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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