÷0  ジャンル雑多な読書感想文
2017.09 « .1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31» 2017.11
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
* --/--/--(--) # [ スポンサー広告 ]
カリガリ博士
カリガリ博士

 ドイツ表現主義の頂点といわれている映画。1920年制作。何回か名前を聞いたことがあり、気になっていたので見てみた。youtubeで見れます。
http://jp.youtube.com/watch?v=V2wmu5M5ePI
著作権が切れているパブリックドメインなので、違法じゃないです。訳はないですが、無声映画で簡単な英語の台詞字幕が入るだけなので、大きな問題はないかと。難しい単語はsomnabulist=夢遊病者くらい。ちなみに、この作品は字幕も表現の一部なので、そのあたりも楽しめます。
 ちなみにドイツ表現主義とは、印象主義との対立で、感情や主観が現実の表現にまで影響している芸術作品のこと。
 あらすじ。フランシスが隣に座る男に、彼自身が体験した奇妙な出来事を語る。山あいの村にサーカスがやってきた。そのなかでカリガリ博士の見世物は、夢遊病者の男に予言をさせることだ。友人のアランが男に自分の寿命を尋ねる。すると、それは明日の夜明けだといわれる・。
 一応ホラー映画となっているけれど、スプラッタな表現やおどろおどろしい場面はなく、そういったのが苦手な人でも何の問題もなく見られると思います。
 演出が独特で面白い。絞りを多用した画面切り替え。奇妙に伸びた椅子、歪んだ家、不気味なメイク。ラスト近辺で出てくる明るい音楽と、暗い主旋律のアンサンブルによる狂ったハーモニー。
 話の筋は簡単に予想できるけれど、妙に不安感をあおる演出たちが視線をひきつける。特に後半15分くらいは、シーンの重ね方や音楽の使い方といい、とてもミステリアスで、衝撃の結末とともに非常にうまくできていると思う。古色蒼然とした味わいともに楽しめる古典映画でした。

 以下、ネタバレ

 最後の院長の台詞"And now, I also know how to cure him"がすごく気になる。
 ここで映画は終わってしまうのだけれど、予想しうる治療法は、やはり院長がカリガリ博士となることなのだろうか・。
 それまでのプロットでずっと描かれていたように、ずっと精神病患者に接していた院長が精神に変調をきたしていないという保証はどこにもない。院長は映画で描かれていた通りにカリガリ博士となって、凶行を引き起こす。そして再び、正気と狂気が裏返る。狂った告発者であった主人公は、院長が狂ったがゆえに正当な告発者となり、治療は完成する。映画は冒頭へと巻き戻り、正気と狂気の境は回転運動を繰り返しながら、その意味をなくしていく。
 見ている者は、正気と狂気の境をなくした歪んだ映画の時空に取り残される。その歪みは視聴者自身の主観の反映であり、どこまでも終わりの見えない不安な円環の中で、何も分からないままカリガリ博士のショウを見続けることしかできない。
 シンプルな構成でありながら、ここまで考えさせてしまう表現主義、恐るべし。
 というわけで、私にとっては結構なホラーでした。怖いよ。
* 2008/06/21(土) # [ 映画感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

■ コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: ←ここをチェックすると 管理者のみが読めるコメントになります
 


トラックバック
この記事のトラックバックURL

▼この記事へのトラックバック(あれば表示)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。