÷0  ジャンル雑多な読書感想文
2017.05 « .1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30» 2017.07
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
* --/--/--(--) # [ スポンサー広告 ]
さくらんぼの性は
さくらんぼの性は
ジャネット・ウィンターソン 白水社

 時間と場所、恋と性、心と体を自由に巡る物語。
 あらすじ?17世紀のロンドン。オレンジを一度に12個もほおばれるほど大女が子供を拾う。彼女は子供をジョーダンと名づけ、息子として育てる。ピューリタン革命が吹き荒れる中、ジョーダンは幻の女フォーチュナータを捜しに海に乗り出す。一方19世紀、ジョーダンは海軍に入隊する。そして、環境問題に身を呈する女性科学者に出会うが。
 あんまりあらすじを書いても意味がない話ではある。この物語で、「時」は過去から未来へと一方向に流れるのではなく、過去は未来からの想像の産物であり、また未来は過去の書物に描かれている。ジョーダンと彼の母親、そして17世紀と19世紀のエピソードは遠くから干渉しあいながら、万華鏡のように視線を乱反射して輝く。そして幻の女であるフォーチュナータ、すなわち未来との邂逅のためにジョーダンは無限の海へと乗り出していく。
 異性愛・同性愛(男女とも)・獣姦・屍姦・殺人や猟奇描写とまあ、エログロに何でもありだけれど、どこかロマンティックで寓話的な文章が夢のようで楽しい。男と女、心と体といった二項対立は消え去り、さまざまな組み合わせの中でどこまでも自由に楽しく作者は筆を滑らせていく。
 面白かった登場人物は、ピューリタンで共和派のスクロッグズとファイアブレイス。健全すぎるゆえの不健全。面白かったエピソードは12人の踊る女王たちの結婚の顛末。「女」の夫と結婚して楽しく暮らしていたところに訪れた悲劇とか、ラプンツェルの恋人として通っていたところに現れる王子様とか、みんなねじれてしまった結末が楽しい。
 ところで「10・1/2の世界史」を読んでいるときにも思ったのだけれど、作品の途中でいきなり説明書き的文章が差し挟まれるのは、イギリス小説の特徴なんだろうか。

今回の引用。何となく気に入った部分から。
この時空のどこかに別の世界が存在しているのかどうか、わたしにはわからない。あるいはこの世界だけが唯一の世界で、後は全部たくましすぎる想像力の産物なのかもしれない。どっちだってかまわない。わたしたちは、どちらの可能性も大事にとっておくべきなのだ。なぜなら、その二つは同じコインの裏表のように思えるから。
いろんな可能性がありうるって楽しいと思います。
* 2008/06/16(月) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

■ コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: ←ここをチェックすると 管理者のみが読めるコメントになります
 


トラックバック
この記事のトラックバックURL

▼この記事へのトラックバック(あれば表示)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。