÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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ポルノグラフィア
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ヴィトルド・ゴンブロヴィッチ 河出書房新社

 題名はあれだが、性描写などほとんどないという罠。ゴンブロヴィチさんらしく、ひねくれて曲がりくねった文体が面白かった。
 あらすじ。私(ゴンブロヴィチ)は、ヘニアとカロルという少年と少女を見たときに、彼らが結びつけられているのを確信する。だが、ヘニアには婚約者がおり、カロルは年上の女が好みである。同行していたフレデリクという男もまた、彼ら二人の結びつきを確信しているようである。ヘニアとカロルがたまたま同じミミズを踏みつけたことなどを見て、主人公はますます彼らの結びつきを確かめ、<若さ>を崇拝する。そうこうしているうちに、ヘニアの婚約者の母が殺されるという事件が起きるのだが。
 ひたすらに出来事を見つめ、それを自分の思うままに解釈していくゴンブロヴィチさんは、「読者」の姿に通じているのかとも思える。だが、全部ゴンブロヴィチさんの一人芝居だと思っていたら、いつの間にかその妄想が他者を巻き込みながら、だんだんと思わぬ方向へ話を動かしていくのが奇妙。登場人物たちが自分の役割を演じることに自覚的になっていくのが『計画犯罪』と同じだが、それをさらにこんがらがるようにして、主人公の妄想とたくみに組み合わさっていく流れが面白い。基本的のこの作者の作品は、一人称の思いこみの暴走なんだけれど、それだけで終わらないような何かがあるような気もしなくもない。
 一番変態的なのは作者(というか主人公とフレデリク)で、周りはそれを投影するためのオブジェであるのも、『バカカイ』と同じテーマ。色々頭で考えすぎていて、人工的この上ない不自然な状況を楽しむ本。
 今回の引用はあとがきから。出典は作者の日記。
(私の作中人物は)永遠の役者、だが自然な役者だ、なぜなら人工性は彼のもって生まれたものだから。その人工性は彼の人間性の特徴となる―人間であることは役者たることを意味する―人間たることは、人間のふりをすることを意味する―人間であるとは、真底、人間にはなり切れぬまま人間のように”振る舞う”ことだ―人間であるとは人間性を暗誦することなのだ。

(以下、少しネタバレ)

 この話に出てくる大人たちの末路も対照的。主人公と、フレデリクと、ヘニアの婚約者のヴァツワフ、さらに革命軍の戦士だったシェミャン。フレデリクは<若さ>を持つユゼクを殺し、発狂することで<若さ>の側に立つ。ヴァツワフは大人であるシェミャンを殺すことで<若さ>の愚かさを超越しようとしながら、ナイフによって<若さ>に殺されることで<若さ>と繋がる。そして、シェミャンはすでに若さを失い、臆病で醜くなってしまったがゆえに<若さ>に殺されなければならない。それらの合間を危うく綱渡りするようにしながら、主人公は語り続けてくれる。このたち位置はかなり上手く、何だかずるい感じもする。主人公とフレデリクの妄想劇場に巻き込まれて自分も参加するうちに、大変なことになってしまったヴァツワフが特に面白い。
* 2007/10/11(木) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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