÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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幽霊たち
幽霊たち
ポール・オースター 新潮文庫

 小説にとって『書くこと』って何なのだろう、ということをテーマにした小説。百ページ強で、よけいな描写を省き、洗練かつ簡潔な筆致で短くまとめてあるのも好印象。まさに存在していることと存在していないことの狭間にある『幽霊たち』についての話。
 あらすじ。1947年2月3日、私立探偵ブルーはホワイトに依頼され、ブラックの監視を始める。ブラックは時折本を読んだり何かを書いたりするだけで、特に変化もないまま、報告書を送るだけの日々がすぎていく。やがてブルーはこの状況への不安におそわれるようになり、ブラックとの接触を試みるようになるが。
 実用的な文章とは違う小説にとって『書く』とはどういことなのか、作者にとって『書く』とはどういう行為なのか、書かれた世界とは何なのかを、主人公であるブルーが隔絶された環境で書かざるをえない状況に追い込まれることによって、問いかけている。他人との了解を前提にして存在する『言葉』を用いて作る小説は、それゆえに書いた瞬間から、まるで本当のこと、そして自分とは別物になってしまう。
 抽象化された世界の中で出てくる具体的なエピソードや小道具、そして限定された日時や場所が、虚構と現実の関係を表しているようで面白い。色を関した名前を付けられた登場人物たちに色彩はなく、それを取り囲むエピソード(黒人選手の話や、デスマスクの話)に全て色を吸い取られてしまったような感じがする。
 漫画とかアニメとかゲームでなく、なんでよりによって『小説』が好きなのか、と考える人にお勧め。
 
 久しぶりに好きなところから引用。
毎週自分が書き綴った報告書が、きちんと順番に並んでいる。黒と白の織りなす世界は何ひとつ意味することなく、沈黙と同じくらい真相からはるかに隔たっている。
小説にありがちな『書くこと』への無条件の信頼を、こんなにシンプルにぶった切ってみせるなんて素敵だ。物語が終わることによって終わる、小説の終わり方も格好良い。
* 2007/08/23(木) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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