÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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日本の歴史をよみなおす
日本の歴史をよみなおす
網野善彦 ちくま文庫

 日本史というのは世界史に比べて、非常にドメスティックで細かいことをごちゃごちゃ言っている(何十人もの藤原氏とか、よく分からない文化史とかをむやみに覚えさせられる)という印象があったのだが、全くその観点を改めさせられた本。世界史はそのダイナミクスが面白いが、日本史は丹念に追っていくことで自分たちの考え方やルーツに直結していく面白さがある。
 13世紀末から14世紀(鎌倉末期から室町時代)という、いまいちマイナーな印象のあるこの時代が、実は古代を引きずった日本が近世、さらに現代へとつながる流れへと変わっていく転換期なのだということから、日本史を考え直していく。古い資料や絵画も沢山載っていて、昔の人の考え方の一端を知るようで面白い。
○文字について
日本では漢字・片仮名・平仮名と3種類の文字が使われているけれど、それぞれ誰にどのように使われていて、それが歴史的にどういう意義があるのかということについて。ページ数の関係から、少々物足りない感じ。日本は結構昔から識字率(女性も)がこれほど高かったのは意外。
○貨幣と商業・金融
貨幣と国家権力は不可分の関係だが、それがどのように市井まで流通するようになり、商業・金融と結びついていくかについて。呪術の道具としてマジカルな意味も持っていた貨幣が、それ故に世俗の人間関係から切り離され、交換価値として全国に流通していく。その中で、商業や金融に携わる者は、神に仕えるものとしての一面を持っていた。寺や神社に高利貸しが多かったのも、この流れで行くなら必然なのか。
○畏怖と賤視
畏怖という形で特別視されていた者たちが、やがて差別対象へと変わっていくことについて。14世紀頃から自然が畏怖すべき対象から、支配すべき対象へと変わり、また支配しきれない不合理なものとしての怒りが、死や動物など自然を扱っていた者・また障害者などを卑しい者へと変えていく。
○女性をめぐって
現代以前女性はずっと抑圧されていたと言われるが、果たしてそうだったのか。女系・男系の概念のなかった日本の社会に中国の男性優位な律令という制度が入ってきたことで起こる建前と実際のゆがみ。そして、自然が駆逐されていく中で同時に起こる女性への蔑視。
○天皇と「日本」の国号
この章は、自分の勉強不足がたたって、いまいち理解不足。ただ、「日本」(ひのもと=東)という国号が非常に中国を意識してできているという指摘に目から鱗。
○日本の社会は農業社会か
「百姓=農民」という先入観。封建社会という土地を中心として見ることによって、切り捨てられてきた視点。実業家的側面を持っていた水呑百姓の一部。残る公式資料の偏りと権力者の農本主義の要請。
○海からみた日本列島
山がちな土地といえど、水流ネットワークが発達していた時代では、むしろ発展した都市としてあった。島国は周りから閉ざされていたのではなく、むしろ水という柔らかなネットワークに包まれて、各地(外国も含む)との緊密な交流の中にあった。
○悪党・海賊と商人・金融業者
土地という不動産ではなく、金銭や商品という流動資産を扱う者たちは、権力機構から離れ、「悪党・海賊」と呼ばれ一定の独立した勢力としてあった。また、権力者側からこれらの者たちを取り込もうとする動きもあった。
○日本の社会を考えなおす
以上のまとめ

 「舞踏会へ向かう三人の農夫」を読んだすぐ後だからか、『歴史』はまさに自分たちの住んでいる時代を投射して成り立つものだなあと言う印象。1945年をさかいに全く断絶されてしまう日本史とか、女性史の流れとか、対象の時代だけでなく、語っている時代そのものを語っているわけである。
* 2007/08/19(日) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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