÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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レ・コスミコミケ
レ・コスミコミケ
イタロ・カルヴィーノ ハヤカワepi文庫

 科学理論とほら話の奇跡の融合。宇宙の始まりから存在するというqfwfqという老人が、星の誕生や生物の進化など、自分の見てきたことを語って聞かせてくれる連作短編集。qfwfq爺さんが語ってくれる、宇宙の始まりや進化の話は不思議で楽しく、「実際見たのかよ」とつっこみたくなるのだが、「見たんだ」と言われれば「そうですか」としか言いようがなく、とにかく読んでいてとても幸せな気分になれるのでそれで良し。
 以下、特に面白かった話の雑感
『昼の誕生』
もやもやとしたガス状の空間から、恒星と惑星が発生するまで。Bブ'bお祖母さんのドーナツ盤も良いけれど、引っ込み思案の姉G'd(w)nが固まりかける地面へと飲み込まれていき、その後年金生活者と結婚していたのが発見される顛末が可笑しすぎる。
『宇宙にしるしを』
基準点を作ろうとがんばる話。今はもう存在することさえできないしるしに寄せるセンチメンタル。
『ただ一点に』
ビッグバンの話。まさにただ一点に置いて、全てを含み、全てに含まれるみんなのマドンナPh(i)Nko夫人が「みなさんにスパゲッティをご馳走してあげたいわ」と言うことから始まる宇宙。イタリアっぽくて素敵。
『水に生きる叔父』
陸に上がった同族たちの中で、唯一頑なに水中に残った権威ある叔父の話。いかにも昔風な言い回しで、決して地上生活を認めようとしない叔父が面白い。途中からオチは予想できるが、やっぱり読んでいて楽しいので無問題。躍動感にあふれるLllお嬢さんが可愛い。
『いくら賭ける?』
仮説と確率の話。考えれば考えるほど、掛けは当たらなくなるよねえというのは実感。
『空間の形』
一般相対性理論の話。難しいことを考えなくとも、質量があれば空間が歪むと言うことさえ分かっていればOK。最後のあたりは書物の話なのか?
『光と年月』
徐々に遠ざかっていく銀河群と目撃談と立て看板の話。一億光年彼方にある惑星に突如立てられた<見たぞ!>と言う看板。実はqfwfqさんは2億年前にとんでもないことをやらかしていて、それが1億年かけてその星で見られ、また1億年かけてメッセージをqfwfqさんが観測できるようになったのだ。qfwfqさんはなんとか自分のイメージを回復させようと、色々考えるが、実はその間にも銀河の離れていくスピードはどんどん速くなっていて…。なんやかんや言って、qfwfqさんは、結構他人の目を意識しすぎていると思う。

 qfwfq爺さんが語るということによって、抽象的で全般的なものを語るはずの理論が、いつのまにか非常に身近で個人的な体験へとすり替わっていくという、距離感の操作が面白い。科学に即しながらも、語るというフィルターを通すことによって、全く自由な世界の描写というほら話になる不思議さ。それでいて、この世界の描写でもあるという巧みさ。科学理論をこんなにも面白く、文学的に仕上げている作品を読んだのは初めてで、非常に良かった。

 今回は一番笑えたところから引用。『昼の誕生』の平凡なおじさんが、星の誕生によってあれよと言う間にどんどん離れていってしまう場面から。
 すると、今ではすっかり遠く、かすかにくり返しているばかりの叔父さんたちの声が聞こえた。「ばか……ばか……ばか……」
本当に馬鹿だ。
* 2007/08/10(金) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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