÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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舞踏会へ向かう三人の農夫
舞踏会へ向かう三人の農夫
リチャード・パワーズ みすず書房

 蘊蓄語りがたくさんの、一枚の写真から始まる二〇世紀の歴史探訪。
 文章一文ごとに皮肉やユーモアが効いているのだが、どこかセンスが合わなかったのか、最後までぼんやりと読み進めてしまった。2段組の400ページはかなり分量が多い。
 あらすじ。わたしはデトロイトの博物館で三人の農夫が写った写真に出会い、その写真について調べ始める。1914年、三人の農夫たちは舞踏会へと向かう途中で、自転車に乗った写真技師に出会い、写真を撮られる。そして1980年代の現在、ピーター・メイズは復員パレードの終わりに目にした赤毛の女に心惹かれ、彼女を見つけだそうとする。
 3つの筋はそれぞれ独立しているが、一枚の写真をめぐって複数の解釈がからんでいくことにより、平面的な唯の一枚の写真は、それぞれにとっての20世紀へと立体化していく。題名にもなっている一枚の写真は、1914年に撮られたものであり、歩き途中に振り返ってこちらを振り返った青年たちはこちらを見つめ、その向かう先には舞踏会、つまり大戦と共に幕開けする暴力に彩られた20世紀が待っている。
 プルーストの『失われた時を求めて』について、結構言及されていてそこはかとなく嬉しかったりした。低学歴で大量生産の生みの親で且つ奇人のフォードや、虚構に囲まれたフランスの女優サラ・ベルナール、そして「20世紀の肖像」をのこそうとした写真家ザンダーなどの多くの者たちの伝記的描写、歴史論・機械論・写真論など蘊蓄にあふれた論説、さらには随所に科学的知識がちりばめられ、これら多くの知識を巻き込みながら、20世紀の歴史を浮き上がらせると共に、それは私たち自身の歴史の受け止め方であり、自分自身の歴史へとなっていく。
 最初は何だか抽象論と全く筋の見えてこない断片の話ばかりでぴんとこないが、少しずつ混ざり合い始めながら何度も語り続けられているうちに、自然とそんなものかと思えてくるようになるのは不思議。
 同じ歴史を描くにしても、よく較べられているのを見るエリクソンの「黒い時計の旅」は、圧倒的なイメージのパワーによってぐりぐりと歴史を上書きしていくような力強さが印象的だったが、こちらは語りのウィットと衒学的知識に乗せて、滑るように歴史を複視化しているような感じがした。
 1900年代に入っても、本気で平和船を作ってしまうフォードのおじさんのいかれっぷりが面白い。最後のメイズの遺産のオチにもやられた。まさに「仲間を助けよ」!
* 2007/08/05(日) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

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