÷0  ジャンル雑多な読書感想文
2017.09 « .1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31» 2017.11
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
* --/--/--(--) # [ スポンサー広告 ]
枯木灘
枯木灘
中上健二 小学館文庫

 日本文学を思い立って読んでみるシリーズの第3弾。何だか疲れてきたので、これにて打ち止め。
 あらすじ。「岬」の主人公竹原秋幸は26歳となり、土方の現場監督として働いている。噂としてあること無いことをしゃべる竹原家のユキや妾腹の徹、養子としてなじもうとする洋一や、16歳で子供を産む美恵の娘の美智子など、さらに親族を加えて流れていく重苦しい日常。そして夏祭りの日にあの男と出会った秋幸は、腹違いの弟秀雄を殺してしまう。
 「岬」は短編だったが今回は長編なので、登場人物やそれにまつわるエピソード、そして土地の歴史的な重みもどんと増え、さらにおなかいっぱいな作り。複雑な秋幸を単純に受け止め続ける大地。虚偽の歴史の始まりとして男性器を象るような浜村孫一の像。例のごとく文学的な象徴を上手く取り入れながら、主人公の父親浜村龍造を基点とする複雑に絡み合った家族関係と周縁の土地紀州を描いていく。秋幸や自殺した兄郁男と種違いの姉の美恵、腹違いの妹さと子にからむ『きょうだい心中』の唄や、洋一や徹に重なる親子の屈託、誰かが死んでいく一方で生まれてくる子供、そして何より秋幸へと流れ継がれていく男の血。それまでメインの視点だった秋幸から、徹へと視点が移り、秋幸の実像が曖昧になっていく中での白痴の少女とのラストシーンが何とも言えず恐ろしい。
 ほとんど直接的な描写はないけれど、悪評や様々な噂を吸い込み、秋幸の心の中で大きな位置を占めることで、誇大化していく龍造の圧倒的存在感が印象的だった。
 全体として、面白くて上手くできているのは分かるが、やはり読んでいて非常に疲れました。
 私が読んだのは小学館文庫版なので、柄谷行人の解説が付いていて『中上の作品はフォークナーとの類似性がある』と書いてあるのだが、わたしはフォークナーを読んでいないのでよく分からないが、この複雑で幾度も繰り返し続けるような家族関係に何となくマルケスの「百年の孤独」を思い出した。
* 2007/07/13(金) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0

■ コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: ←ここをチェックすると 管理者のみが読めるコメントになります
 


トラックバック
この記事のトラックバックURL

▼この記事へのトラックバック(あれば表示)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。