÷0  ジャンル雑多な読書感想文
2010.09 « .1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31» 2010.11
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
* --/--/--(--) # [ スポンサー広告 ]
日本美術の歴史
日本美術の歴史
辻 惟雄 東京大学出版会

 なんとなく日本美術の通史を読みたいと思ったので、この前読んだ「奇想の系譜」が面白かった辻さんの本から。あと、横尾忠則デザインの表紙のインパクトにつられて。
 印象としては、土偶からマンガまで、古典から村上隆らまで日本の美術を追って、そこに通底するものや変化していくものを探ろう!という感じでした。いかにも繊細な「日本美術」という感じのものから、キワモノやゲテモノに近いものまで、なかなか広がりのある日本美術をざっと眺めたいときにどうぞ。
 内容は一応教科書用とのことなので、縄文時代からほぼ戦前までのおおよその流れがまんべんなくさらえるし、きれいな図版も豊富なのがうれしい。絵画や彫刻だけに限らず、書や建築や工芸にも目配りあり。記述は特にかたよりなく読みやすいが、たまに出てくる著者の個人的感想に近い文章が楽しい。やまと絵や仏像なんかは固有名詞だらけの個別の説明文を読んでもさっぱり頭に入らないので、豊富な図版とともになんとなく大雑把な流れだけでも頭に入るのでありがたい。

以下、個人的に気になったポイント。
・現代人の理解を超えてる土偶の造形。中国など他国からの文化的影響がほとんどない(というか国家という枠組みでない)頃のつくりもの。まじ宇宙人。やべー。
・その時代の流行りや好みや嗜好を映す仏像や仏画。童顔美少年とか肉感的エロチシズムとか中性的アルカイックスマイルとか男性的躍動感とか。実在しない理想の存在はやっぱり素敵ですよねー。西洋の彫刻と違ってあんまり質量感がない感じなのが、ますます2次元と3次元の境界を越えてるような。私は神秘的で不思議で可愛い、象に乗った普賢菩薩が好みです。
・中国から近すぎず遠すぎずの絶妙の位置がつくりだす日本文化。江戸後期からは西洋が中国の位置に代わっていく。自文化とは異質なものを外面的に摂取し、オリジナルな解釈を施し、なんだか違う新たな物を作りだす伝統。海に囲まれた極東であるという位置が、文化として大きな役割をはたしているんだなあと思いました。その中で、明治以後多くの画家が、西洋に留学したことで逆に圧倒的に異なる文化や伝統の重み、またそれに反逆しようとする運動の前に、その才能を潰してしまったという記述が哀しい。
・諧謔やユーモアあふれるもの。あまり知らなかったけれど、意外とあるものですね。北斎や河鍋焼斎などの浮世絵師らや、あるいは良寛や白隠など超俗の僧侶とか諸々。ウインクしてる木像が素敵。
・明治以後の画家はあまり知らなかったので、勉強になりました。色々あるもので、黒田清輝以前の洋画は脂っこくて暗いので「脂派(やには)」と呼ばれましたという記述が可笑しい。空襲で焼かれる直前の東京を描いた松本竣介の途方に暮れたような絵が個人的には印象に残った。

 ところで、日本美術の特徴として語られる平面性、繊細、全体の構成ではなく細部への志向性。また東洋絵画としての描線へのこだわりや、けれんみのある誇張。こう並べると漫画やアニメなどの表現形態と相性がいいのもむべなるかな。つまり、三次元より二次元が好みなのも大昔からの伝統だったのです!すでに手遅れ。
スポンサーサイト
* 2010/10/24(日) # [ 読書感想文 ] トラックバック:1 コメント:0
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。