÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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良い経済学 悪い経済学
良い経済学 悪い経済学
ポール・クルーグマン 日本経済新聞社

 どこかでお勧めされていたので読んでみた。数式も難しい用語もないけれど、ミクロ・マクロ経済学の基礎知識があった方が読みやすいと思います。
 概要。世の中には影響力を持った知識人が「新興国の成長が先進国の雇用を脅かす」「経済でも、国と国との競争に負けてはならない」などとエセ経済学を振りかざしている。その一方で経済学者の言うことは、「経済予測もできないくせに」とまともに相手をされない。今、気鋭の学者クルーグマンが経済理論という剣を持って、これらエセ経済学に鉄槌を下す!
 センセーショナルに書き立ててみたが、だいたいこんな感じ。10年以上前に出版された本だし、アメリカの事情を語っているので、そのまま今の日本に置き換えて考えることはできないけれど、よく新聞に書いてあるようなことだからと言って必ずしも正しい訳じゃないんだなあ、と思った。現在なら「グローバリゼーションの弊害」とか。貿易を語る上で、リカードの「比較生産費説」くらいは知っておいた方がいい、とは私も思う。(経済学の教科書の『貿易』の項の一番最初に書いてある理論だから)
 こういう通俗理論が幅を利かせるのは、国内事情から目を背けさせるためだったり、面倒くさくて受けの悪い話を回避するためだったりするんだろうか。確かに、競争にかこつけて話せば、企業に勤める人にはわかりやすい(けれど間違っている)話になるんだろうけれど。
 社会を動かす巨大な『経済』という怪物に理論と知性でもって、なんとか説明を試みようとするのが経済学であるならば、せっかくなのでそれを利用しない手はない、ということで。
 一番面白かったのは、最後の章の『技術の復讐』 技術が向上し、生産効率が向上することは、雇用にどのように影響するのか?かつてSF作家が書いたように、全ての仕事はロボットに置き換えられ、人間の果たす役割はなくなるのか、それとも?経済学の立場から考える、ちょっと意外で、けれど常識的な回答とは。
 ついでに、この本ではアメリカの有名な知識人がめった切りにされているのだけれど、西欧の学者の批判の書き方は、持って回った言い回しが多くてイヤミくさい。が、それが面白い。
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* 2008/08/27(水) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
ジョン・レノン対火星人
ジョン・レノン対火星人
高橋源一郎 講談社文芸文庫

 「さようなら、ギャングたち」以来久しぶりに高橋源一郎を読んでみた。実質デビュー作。
 あらすじ。「わたし」はポルノ作家である。いつか「偉大なポルノグラフィー」を書く。ある日、消印「葛飾」差出人「すばらしい日本の戦争」から手紙が届く。その文章は死躰たちの描写だった。
 あいかわらず全然わからない。パロディとメタファーにより、ラジカルでリリカルな青春の暴力に満ちあふれているらしいけれど、わからない。丁寧な解説も読んだけれど、やっぱりわからない。全共闘世代とは時代が違うからかと思って、各所に使われる固有名詞を調べてみたけれど、わからない。しょうがないのでもう一度読んでみたけれど、わからない。よくわからないけれど、何か気になる小説ではある。
 高橋源一郎をよむと、相手がものすごく一生懸命に、誠実に話しているのに、何にも聞き取れないひとになったみたいで、情けなくなってくる。
 とりあえず「美しく、むだのない、きびきびとした文章」である死躰の描写の作者候補として志賀直哉が挙げられているところと、資本論おじいちゃんがフランス版資本論と再びセックスできるようになるまでのくだりが面白かった。
 好きなところから一節。暴力的描写を含むので、苦手な方は注意
「すばらしい日本の戦争」の(中略)女の死躰の話はとりわけ悲しみに満ちていた。
「正確に二等分されているんだね?つまり、会陰部から妊娠線を通って、まっすぐに……」1,2,
「すばらしい日本の戦争」は首肯き、
「考えられないほど正確に切断されているんだ。のこぎりで」と言った。
 わたしは「すばらしい日本の戦争」との間で、初めて心のキャッチ…ボールが成功したことを確信した。そのボールがのこぎりで切断された死躰であろうが何だろうが、とにかくわたしは「すばらしい日本の戦争」とキャッチ・ボールをしたのだ!
 そのうち再読することとして、今回はここまで。


追記に主な固有名詞の簡易解説
こういうつまらないことは、他の読者の読みを妨害するのかなあと思いつつ、
誰かの何かの足しになったらいいなあと思ったので。
あとせっかく調べたので、という貧乏性
* 2008/08/13(水) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
今日はとことん「清水義範」
○はじめに
半端なく長くなってしまいました。面倒くさい人は、適当に拾い読んでください。



 私が一番はじめに好きになった作家の紹介。
 日本では希少なパロディストであり、雑学おじさんであり、教育について語ってみたり、文学を解説したり、たまにはシリアスな小説も書いてみたりする。本業はユーモア短編(だと思う)だけれど、時代小説だって、SFだって、なんちゃってミステリだって、何でもござれ。誰にでもあっさり読める面白作品が多い、素敵なエンターテイメント。
 特筆すべきは、やっぱりパロディ。ステレオタイプとなったイメージを、こんなにも魅力的で面白く、愛情込めて書く人は他にいないと思う。
 今までに書いた作品は、おそらく200作以上。わたしが読んだのは、ちょうど100作。
 最近は西アジアの方に関心があるようです。でも、あまり読んでないので知りません。
 普及させるにはあまりにも閲覧者の少ないサイトだが、それでも紹介してみる。少しでも気になった方は、本屋さんへどうぞ。絶版ものも多いので、図書館かBOOKOFFに行けば、山のように積んであります。
* 2008/08/11(月) # [ 企画 ] トラックバック:0 コメント:0
読書メモ
個人的に歴史ブーム
「砂糖の世界史」
川北稔 岩波ジュニア新書

 子供用と侮るなかれの良書。というか、岩波ジュニア新書は意外に大人でも難しい内容が多い気がする。
 砂糖という誰もが好む「世界商品」が、歴史に果たしてきた功罪を解く。古来から貴重品、神聖な薬として珍重された砂糖は、大航海時代という世界統合のうねりを受けてその役割を大きく変えていく。贅沢・富の指標としての砂糖。そして茶と出会うことによって、上流階級から市民階級へと浸透していく。
 華やかなおいしさの裏には、モノカルチャー・プランテーションという過酷な合理化を進めた農業と、その労働力を支える奴隷貿易がある。アフリカ・南アメリカを現代に至るまで発展から取り残してきた爪痕を刻んで、砂糖はその生産量を大きく増す。
 そしてやがて砂糖入りの紅茶は、労働者のエネルギー源として産業革命を支えていくことになるのだった。
 流行しているらしい世界システム論と歴史人類学を採り入れた視点の本書は、けれど決して難しいことはなく、平易な言葉で、「砂糖」という商品から歴史と世界を繋いでくれる。
 そして私はこの本を読みながら、砂糖入りのミルクティーを飲んだのでした。

「蒙古襲来」
網野善彦

 下巻の途中で挫折。日本史の専門用語が多くて、なかなか苦しい。
 いつもどおり非農業民など定住しない職人や悪党・非人などの役割を重視しながら書いている。が、基礎知識が薄いのでどうしようもない。
 ところで、今まで、日蓮の活動とか原始仏教の立場から批判する視点のもので見てきたのでよく分からなかったけれど、この非農業民と武士・それを支える農民という立場の構図で見るとわかりやすいのかも。土俗的な感じもする神道との融合的なところも、そう考えれば納得できるし。鎌倉武士とその支配機構と結びつくことで、非人たちの救済をはかった忍性を激しく非難したことも、わりとわかりやすくなるような。

「世界史」
ウィリアム・H・マクニール 中公文庫

 まだ読書中。だけど、いい本だと思います。固有名詞がほとんどないのも良い。
 文化の発展度とその浸透から見る世界史。各国史の組み合わせでもなく、西欧中央史観でもなく、各地域が有機的に組み合わさりながら、それぞれの進歩(?)を遂げていく。世界の様々な地域との比較によって、今まで単語の羅列にすぎなかった文化や戦争の名前が、立体的に組みあがっていく。
 あと、日本がわりと好評化なのも興味深い。外国から見た日本史ものはこれからも読んでいきたいところ。
* 2008/08/08(金) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
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