÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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失われた時を求めて11
失われた時を求めて11
逃げ去る女
マルセル・プルースト 集英社

 出版社によって題名が違っていたり、大幅に修正が加えられた別種の原稿があったりと、なかなか曰く付きの巻。(プルーストが推敲途中で死んでしまったため) 話としては、大分大詰めに近づいてきた感じがする。劇的な恋の幕引きあり、あっと驚くどんでん返しありの11巻目。
 あらすじ。アルベルチーヌは語り手のところに置き手紙を残し、語り手の家から消え去る。語り手はアルベルチーヌを取り戻そうとするが、電報で彼女が死んだことを知らされる。語り手は深い悲しみにおそわれるが、同時に哀惜とゴモラの疑惑による嫉妬におそわれる。そして始まる彼女の記憶の忘却。その後母と赴いたヴェネチアから、パリに帰る途中で、ジルベルトとサン=ルーの結婚、そしてオロロン嬢(ジュピャンの姪でシュルリャスの養女)とカンブルメール侯爵の結婚という、二つの驚くべき結婚について知る。
 当時のフランスの結婚観がよくわからないので、母親や祖母がそんなにこだわっている信条がいまいち実感できない。フランスでは、貴族と庶民の線引きがはっきり引かれ、住むところも生活習慣も名前も全く違い、別人種の人間として存在しているらしいのだが(おそらく現在でもかなりその意識は残っている)
 何となく気になっていた場面の種明かしに驚いた。サン=ルーの印象はこの巻でかなり変わる。リフトの件しかり、5巻での男を殴るシーンしかり。
 面白かった場面。忙しいサン=ルーにアルベルチーヌを連れ戻すことを無理矢理頼んでおきながら、彼が失敗したと知った時の語り手の言葉。
私はサン=ルーを呪った。
あんまりなので笑った。

以下、ネタバレ。
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* 2006/03/26(日) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
Wuthering Heights
Wuthering Heights
Emily Bronte Penguin classic

 邦訳で言うと「嵐が丘」。サマセット・モームが現代の十大小説に入れていたので読んでみた。筋が起伏に富んでいるので、英語でもあらすじは追っていけるのだけれど、単語のレベルが微妙に高いので、細かいところは岩波文庫の「嵐が丘」にお世話になりました。文学作品の古典だなんて思えないくらい、ぐいぐいと引き込まれて読める作品。悪魔的人物ヒースクリフ氏の異常な愛情と復讐の物語。
 あらすじ。領地を訪れたロックウッドは隣人のヒースクリフと知り合いになる。人嫌いで頑固な彼に興味を持ったロックウッドは、屋敷のメイドであるネリー・ディーンから彼のことを語ってもらう。その話は、拾われ子のヒースクリフとアーンショウ家のキャサリン、そして彼らを取り巻くアーンショウ家とリントン家一族の壮絶な物語だった。
 この作品には、ヒースクリフに愛されることになるキャサリンと彼女とエドガーの間に生まれた娘であるキャサリン(同じ名前)が出てくるのだが、紛らわしいので前者をキャサリン(1)、後者をキャサリン(2)と書くことにする。
 選択を先延ばしにしたキャサリン(1)が、結局は狂気に追い込まれてまで、選択を迫られる描写は壮絶。基本的に出てくる登場人物は全員、性格が激しい。良くも悪くも地味だったエドガーは、激烈な登場人物達の割を食ってしまった感じがする。
 影なる運命の女神であるネリーさんの淡々とした語り口が、凄惨なはずの事件もすらすらと読める読み物にしてくれている。あと、時々出てくるロックウッドの自分勝手な感想が、良い意味で脱力させてくれる。
 相手の幸福を祈るなんて糞食らえという感じの、ヒースクリフによるキャサリン(1)へ追悼台詞が大変興味深かった。
"Catherine Earnshow, may you not rest, as long as I am living! You said I killed you - haunt me, then! The murdered do haunt their murders. I believe - I know that ghosts have wandered on earth. Be with me always -take any form- drive me mad! only do not leave me always abyss, where I cannot live without my life!"
面白かった登場人物はイサベラ。夢見る少女だった彼女が、結婚後、ものすごく性格がねじ曲がっていく様がよい。ヒースクリフ相手に憎まれ口を叩くところで陰険さが際立っています。


以下ネタバレ。
これからこの作品を読む予定の方はご注意を。
* 2006/03/16(木) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
百年の孤独
百年の孤独
ガルシア・マルケス 新潮社

 ラテンアメリカのノーベル文学賞作家ガルシア・マルケスのベストセラー作品。
 あらすじというのも無意味なので、大げさなあらすじ。ホセ・アルカディオによって作られた町マコンドで、彼らブエンディア一族の百年の孤独を、一人一人の詳細なエピソードの集積によって紡いだ物語。100年の時を経て、愛によって「孤独」が完成されたときに、災厄が生まれる。そして物語が終わる時、アウレリャノのいる孤独なマコンドという世界は崩壊し、また全く同じ物語を読む読者の世界にも亀裂が走る。
 日常も不条理も、現在も過去も、回想も体験も、凄惨な政治闘争や些細な色事も、全て同じ語り口で語られていくことによって、その境界は判然としなくなり、全てが一つの物語へと溶け出していくような気がする。濃厚な臭いが漂いそうな、密度の高い描写は、読んでいて引き込まれる。
 この話の世界であるマコンドの中心のブエンディア家は、一見、大家族的な愛情に包まれている一族だが、世代を下って行くにつれて、彼ら一族固有の「孤独」によって生命力が摩耗されていくことによって、反復を繰り返す振り子がやがて摩擦力によって動きを止めてしまうように、その運命さえもとぎれてしまう。繰りかえし続ける名前や、一人の女を巡る兄弟、アウレリャノとアルカディオ兄弟の奇妙な友情のようなもの、ウルスラとアマランタに対する家族愛とも異性愛ともつかない憧れ。そして、その底にある一族を流れていく孤独。アウレリャノ大佐は金細工を潰しては彫り続け、アマランタは不毛な愛を込めて死装束を縫い、ホセ・アルカディオは樫の木の下で誰にも理解されないまま縛られ続けている。
 メタフィクション的構成も面白いけれど、いつまでも反復をし続けるように見える一族のエピソードが一つずつが、それぞれ魅力的だった。 
 大佐が繰り返した戦闘や、バナナ騒動などは、植民地主義や内乱などのラテンアメリカ史のカリカチュアなのだと思うけれど、その方面には疎いので、いまいちよく分からなかった。この辺りは、そのうち補っていきたい。

 訳者あとがきによると、この作品にはいくつかのミスがあるらしく、それを探していくのも面白いかも知れない。銃で頭をぶち割られた神父が、数ページ先で何事もなかったかのように生存していたりする。さすがに、寄付金を集めるためにチョコレートで浮遊術する人はやることが違う。
「しばらくそのまま。これから、神の無限のお力の明らかな証拠をお目にかける」
 そう言ってから、ミサの手伝いをした少年にいっぱいの湯気の立った濃いチョコレートを持ってこさせ、息もつかずに飲み干した。そのあと、袖口から取り出したハンカチで唇を拭い、腕を水平に突きだして目を閉じた。すると、ニカルノ神父の体が地面から12センチほど浮きあがった。この方法は説得的だった。


* 2006/03/12(日) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
ゼロ発信
ゼロ発信
赤瀬川原平 中公文庫


 読売新聞で連載されていた新聞小説をまとめたもの。赤瀬川らしい味が出ていて結構好きな本。
 一見、日々の何でもない出来事を書いたとりとめもない随筆だけれど、少しフィクションも入っていて、それが原稿の字になって、新聞に印刷され、読者の目に届くという時間の中で、じわじわと少しずつ小説になっていく過程が、読んでいて何となく分かるような気する。事実と小説のぼんやりとした境界の上の本とでも言ったら良いんだろうか。
ということで、現実は少し寝かせると小説になるのだった。
 中身の方は、他の随筆とあまり変わらないが、毎日書かなければいけない分だけ、生活に密着しているものが多い。ペットである犬のニナや猫のミヨ、趣味であるカメラについてなど、犬派でも猫派でも物派でも楽しめる。普段は動物になんて興味はない方だけれど、作者のだらっとした考察付きで読むと興味深く読めた。
 印象に残ったのは、犬のニナと半ノラ猫のヒゲ(両方メス)がじゃれ合っているうちに、相手が可愛くてたまらなくなって、犬の方が猫を押し倒してしまう話。なんだかもう、種族も性別もどうでもいいよ、ラブアンドピースという気持ちになってくる。
 最後に眠っているニナの描写がとても幸せそうだった。贅沢。
すやすや
すやすや
すや。
・・・・・・・
すやすや
 できれば、実際連載されている時に、毎日少しずつ読みたかった作品。単行本だと、まとまっていてお得感は出るけれど、この作品特有の魅力が少し減ってしまう感じがする。

 新聞小説と言えば、筒井康隆の「朝のガスパール」も面白かった。メタフィクション的なところより、作中作者の櫟沢の読者罵倒がいい。どうして悪口の言葉というのは、あんなにも豊かなものなんでしょうか。
 逆に地雷は、渡辺淳一の「愛の流刑地」 失楽園のさらにひどい焼き直しだけれど、ある意味ギャグ。毎日笑わせてもらいました。
* 2006/03/05(日) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
失われた時を求めて10
失われた時を求めて10
囚われの女Ⅱ
マルセル・プルースト 集英社

 割と面白くすらすらと読めたのは良いけれど、書くことはあんまり無かったり。
 あらすじ。ヴェルデュラン家に赴いた語り手は、改めて見出されたヴァントゥイユの七重奏を聞いて感動する。それは、ゴモラの女である彼の娘とその親友が解読したものだった。一方、シュルリャス男爵は貴族気質が災いして、モレルは離反し、ヴェルデュラン家から追い出される。語り手は相変わらずアルベルチーヌへの嫉妬にさいなまれ、諍いが絶えない。そんなある日、アルベルチーヌが家からいなくなる。
 語り手のおそらく下手であろう、嘘のつきっぷりが読んでいておかしい。
 あんまりにもネタがないので、penguin classicの"the prisoner/the fugitive"の装丁がいいなとか言ってみる。

以下、ネタバレ
これから「失われた時を求めて」を読む予定がある方は、ご注意を
* 2006/03/03(金) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
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