÷0  ジャンル雑多な読書感想文
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失われた時を求めて5
失われた時を求めて5

第三篇ゲルマントの方1
マルセル・プルースト 集英社

 500頁を超えるボリュームは、さすがに圧巻。サロンの情景は、登場人物が多くて大変。前の方でちょろっと出てきたことが、思いがけないところで語られたりしていて感慨深い。息の長い文章にはようやく慣れてきたので、少しずつ読むのも苦痛ではなくなってきた。次の巻で折り返し地点。今年中に読破は無理そうなので、今年度中を目標に。
 あらすじ。語り手の健康のために、一家はゲルマント家の土地の一角に引っ越しする。ゲルマント侯爵夫人にあこがれた語り手は、彼女を毎日待ち伏せし、オペラ座でゲルマント侯爵夫人とゲルマント大公夫人を見かける。そして、夫人に紹介して貰うためにドンシエールにいるサン=ルーに会いに行く。パリに帰った語り手は、ヴィルパルジ侯爵夫人のサロンへと行き、ゲルマント家の人々と出会う。そんな折り、語り手の祖母の病気が悪化する。
 気になったり、面白かった点
恋のためのサン=ルー利用法。(vous→tu)
ラシェルに振られたサン=ルーと通りがかりの男色者の諍い。
ユダヤ人であるブロックやラシェルの屈折した態度。
かつて多くの男を不幸にさせたヴィルパルジ侯爵夫人。
メーテルランク(象徴派)を理解しないゲルマント公爵夫人。
シュルリャス男爵と一緒に帰ると聞いて、慌てるヴィルパルジ侯爵夫人。
モレルの登場。
サン=ルーからの恨み節付きの手紙。
 気になる祖母の容態は、以下次巻。
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* 2005/11/26(土) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
虚数
虚数
スタニスワフ・レム 国書刊行会



 SF界の知の巨人であるレムが贈る虚構の本の序文集。「完全な真空」から密度も難解さもかなりグレードアップして、読む方も結構大変。読んだ感じでは、むしろ「ソラリス」に近い印象を受けた。
 X線写真で取ったポルノ写真ではなく死の研究書である「ネクロビア」、未来予知コンピューターで的中率ほぼ100%の百科事典「ヴェストランド・エクステロペディア」の販促パンフレット、コンピューターが書いた文学の歴史について論述した「ビット文学の歴史」(どことなく「ソラリス学」に似ている)など奇妙奇天烈なラインナップ。
 以下、気づいたところだけ簡単に感想。
・エルンティク
 この本で一番笑えた話。とある細菌学者がバクテリアに文字を覚えさせたところ、そのバクテリアが未来予知をしたということらしい。とにかく、バクテリアに文字を覚えさせようとするプロセスがいい。はじめはモールス信号からで、下手な韻文を踏んだ英語の詩を書くまでになり、最後には「予知スーパー」を生み出すまでになる。個人的には「雄弁くん」と「ポエティック」の2種が見てみたい。この話は、めずらしくオチまでついている。
・GOLEMⅩⅣ
 人間の知性を超えたコンピューター”GOLEMⅩⅣ”が人間に向かって語った講義録。「人間論三態」と「自己論」を収めた本書の肝。難解すぎて、わたしの頭では殆ど理解できていないんじゃないだろうか。GOLEMが子供に語りかけるところだけは、読みやすかった。「ソラリス」では対話不能な他者は異星人という位置にあったが、「虚数」では人間が作り出したはずのコンピューターになっているのが、何とも言えない。(そう言えばソラリスでは紙テープで通信していた) 知の巨人で且つ人間であるレムの著作である”GOLEMⅩⅣ”が殆ど分からないのだから、ましてGOLEMの講義なんか分からないのも仕方なさそう。文学的素養を鍛えるなり、頭を磨くなりすればレムには多少なりとも近づけるのだろうが、GOLEMとの断絶はどこまでも深く、またそもそも断絶という言葉自体も当てはまらないのだろう。
 結局こんな風に語ること自体、非常に無意味な気もするのではあるが。


 序文つながりだと、清水義範「国語入試問題必勝法」に収められている「序文」もおすすめ。こっちも架空の本の序文集で、英語の起源は日本語というトンデモ仮説についての論文の変遷が軽いユーモアタッチで読める。
* 2005/11/23(水) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
失われた時を求めて4
失われた時を求めて4

第二篇 花咲く乙女たちのかげに2
第二部 土地の名 土地
マルセル・プルースト 集英社

 ようやく色男のサン=ルーや妖しい魅力のシュルリャス男爵などゲルマント家の面々や、メインヒロインである(?)アルベルティーヌが顔を出し始めてきたところで、一巻あたりのボリュームもアップ。お得間満載の第4巻になって、物語もいよいよ新たな展開を見せる。
 あらすじ。祖母と一緒に張る別宮へと旅行に向かった語り手は、そこで祖母の幼なじみであったヴィルパルジ夫人(実は由緒正しきゲルマント家の出)と出会う。その連なりで、ヴィルパルジ夫人の親戚であるサン=ルーと親友になり、彼の叔父であるシュルリャス男爵とも出会う。ユダヤ人である友人のブロックの家へ、サン=ルーと共に遊びに行ったりする一方で、語り手は堤防を通っていく「花咲く乙女達」へと思いをはせる。画家のエルスチールと親交を得たことで、彼女たちと知り合った語り手は、様々な少女に目移りしながら、アルベルチーヌと親しくなっていく。そして、夏の終わりと共に彼女たちはバルベックを離れ、語り手は部屋に籠もりながら彼女たちを見ていたことを思い出す。
 気になったところ。エルスチールの画廊にあった男装した過去のオデットのスケッチ。また、エルスチールの絵と語り手の芸術理論。習慣によるホテルの部屋の違和感の消滅。底に流れるユダヤ人問題。近づいてくるゲルマント家の方。
 怠け癖の付いた語り手が小説を書き出すまでは、まだまだ時間がかかりそうです。
* 2005/11/18(金) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
風流冷飯伝
風流冷飯伝
米村圭吾 新潮文庫

 軽く読める時代物小説。表紙から見て分かるとおり、まったりとした味わいの本。なんだか題名までのんびりしている。冷飯というのは、武家の次男坊以下の男子の意味。
 あらすじ。時代は安穏とした江戸時代。四国讃岐ののんびりとした小藩である風見藩に、江戸から調子だけはよい幇間の一八がやってくる。ひょんなことで知り合いになった冷飯食いの数馬と一緒に、おかしなしきたりが敷かれている風見藩を見て回るなかで、様々な冷飯食いと出会う。そうしているうちに、藩主の時羽直重から将棋頭という役職を新設するというおふれが出て、藩内の冷飯食い達は大騒ぎになる。果たして冷飯食い達はどうなるのか、そして平和な藩にやってきた一八の真の目的とは。
 将棋好きな人にも、おすすめ。色っぽい表現も、随所に散りばめられている。
 役職もなく、家の跡も継ぐことなく、毎日毎日ぶらぶら暇つぶししか出来ず、一抹の寂しさを感じさせながら、それでも風流に毎日を楽しもうとしている冷飯食い達がいい味を出している。
 いつの時代でも、モラトリアム人間に対する風辺りはきついんだなとぼんやり思わせるが、そのこと自体を何とか楽しんでやり過ごそうとしている様が、のほほんとして読んでいて楽しい。どちらにしても、平和な城下町を牛耳り、スキャンダルを待ち望んでいる「乙女組」のバイタリティには敵わないが。
 この人の本だと、「退屈姫君伝」の方が知名度も人気も上だが、やっぱりこっちののんびりしたどこか飄々とした風情に、味があって好みだったりする。「退屈姫君伝」の方は続刊が次々と出ているが、こっちには出ないものか。
* 2005/11/16(水) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
L.Lに寄せる畸人礼賛
以下Luna Lovegoodに関するキャラクター語り兼考察。圧倒的にLuna贔屓で。
(他のキャラクターに関する言及も多少は含む)
一部6巻の内容に触れていたりもします。(なるべくネタバレしない程度に)
うざったいくらい長いです。
そう言うのが苦手な人は回れ右。
内容にふさわしく、問わず語り調で。

* 2005/11/13(日) # [ 考察 ] トラックバック:0 コメント:0
ソラリス
ソラリス
スタニスワフ・レム 国書刊行会


 生きている海という生命体「ソラリス」とのコンタクトの物語。ジャンルで言えばSFだが、恋愛・精神分析・メタサイエンスなど様々な階層を含むので、読んだ人によって受け取る印象が違うと思う。
 あらすじ。心理学者であるケルヴィンは、探査のために「ソラリス」がいる星へと赴く。しかし、何か異常な気配がする中で、かつて自殺したはずの恋人が現れる。ソラリスと関係しているらしい彼女は、一体何者なのか。
 最初「海」が異星人として出てくると聞いて、「母なる海」として主人公を包むような存在なのかと創造したが、全然違う。そんな甘ったるい想像を吹き飛ばす、透徹した交流の不可能性と拒絶、そして一抹の希望のようなものが描かれた「コンタクト」の物語。
 途中で挿入されるソラリスの執拗なまでの描写は、本当に全然違う生命体なのだと感じさせられる。「ソラリス」を巡る学説の変容は、メタサイエンス的でなかなか面白かった。
 何度か映画化もされているらしいが、変にノスタルジックになっていたり、主題を無視してラブロマンス物になっていたりして、作者のレムは憤慨しているとのこと。
 やっぱり、人間とどのような共通点を持たない「ソラリス」とのコンタクトがこの本を読んでいて一番気になった。圧倒的な他者である「ソラリス」の無慈悲なまでの(そう取ることも擬人化しているわけだが)意思疎通の不可能性が、読んでいて哀しい。
 これを読むと、他のエイリアンの出てくるSF(あまり読んだことはないが)が「未知との遭遇」ではなく、単なる人間の焼き直しであるエイリアンとの「既知との遭遇」なのだと思えてくる。
 人類が異星人と出会っていないことは、とても幸運なことで、かつ少し寂しいことなのかもしれない。
* 2005/11/03(木) # [ 読書感想文 ] トラックバック:0 コメント:0
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